『不適切にもほどがある!』カギを握る錦戸亮の存在感!過去のクドカンドラマ主演作『ごめんね青春!』との共通点も

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クドカンの本領発揮! 2月23日放送の『不適切にもほどがある!』(TBS系、毎週金曜22:00~)第5話は、小川市郎(阿部サダヲ)と大島ゆずる(古田新太)のやり取りにすべてを持っていかれた。運命の1995年1月17日がやってきます。

阪神・淡路大震災を描くということ



いつもエンディングで流れるクレジットがオープニングからわずか2分で流れてしまうということは、今回は通常通りではない終わり方をするということ。ソワソワしながら見始めたが、まさか泣かされることになるとは。

ゆずるの登場により、犬島渚(仲里依紗)が純子(河合優実)の娘であると判明。しかし時を越えての親族再会がたどたどしいのは、純子の不在についてうまく話せなかったから。第1話で渚が「阪神・淡路の年に母が死んじゃった」と語っていたから純子の死は覚悟はしていたが、それは市郎もきっと同じ。まだどう受け止めていいのかわからないんだろう。

大学に現役合格、女子大生ブームに乗ってモデル活動までした純子はゆずると出会い、結婚。渚を産み、ゆずると3人で暮らしていた。ゆずるが神戸で家業の仕立て屋を継ぐと説明した瞬間、やはり死因は震災か……と合点がいった。「阪神・淡路の年」という表現で1995年に亡くなるだけだと信じたかったが、『あまちゃん』で東日本大震災、『いだてん』で関東大震災を描いたクドカンが震災をわざわざ避けるわけがない。

後日、市郎はゆずるのテーラーを訪れ、改めて事の顛末を知ることとなる。1995年1月16日、市郎も神戸を訪れていた。市郎と純子とゆずるは朝まで飲み明かし、親子水入らずで駅まで向かう。そして1月17日、午前5時46分。

まさか純子だけでなく、市郎も亡くなっていたとは……。つまり令和にいる市郎は、幽霊のような存在だといえる。クドカンは過去に『11人もいる!』などの作品で幽霊を登場させていて、二度と会えない者と出逢うことを何度も描いてきた。2011年の東日本大震災以降、姿は見えないが見守っている存在として幽霊キャラがさまざまな日本のドラマに登場するようになったが、その前からずっとそれをやってきているのだ。

大切な人と突然の別れを余儀なくされた人々は、たとえ幽霊でもいいから会いたいと願い、それが残された者の心の支えとなることもある。市郎の出現で、渚とゆずるがどんなに救われたことだろう。切なさと感動が同時に押し寄せる5話となった。

錦戸亮の登場で考えたい『ごめんね青春!』との共通点



今回は当然、錦戸亮(キャスティングが神がかってる)について語らずにはいられない!『ごめんね青春!』以来のクドカン民放ドラマ出演は嬉しすぎた。演じるのは平成時代のゆずる。ディスコの黒服は完全に様になっているし、歌も踊りも見せてくれるなんてありがたすぎる!

今回のミュージカルシーンは、平成と令和のWゆずると市郎。これまで対立する価値観を歌わせてきたが、今回は時空を超えてしっとりとしたミディアムバラードを聞かせてくれた。内容も涙なしには聞けないもので、しんみりと2、3度と聞き直してしまった。それに錦戸が宮藤官九郎作詞の曲を歌うのは関ジャニ∞(現SUPER EIGHT)の「言ったじゃないか」以来だと思うと、余計に感慨深い。

『ごめんね〜』で錦戸が演じた主人公はずっと後悔を抱えて生きてきた役だったが、それは今回のゆずるにも共通するものだろう。純子と市郎を亡くし、どういう思いで生きてきたんだろう。若かりしゆずるの心の復興までも描いてくれないかな。今後の再登板を期待してしまう。昭和と令和の間にある平成が飛ばされているのが気になっていたので、平成のシーンももっとつくってほしい。

ちなみに実は5話、ほかにも『ごめんね〜』を下敷きとして見るとより面白いのではないかと思う。『ごめんね〜』は学園ドラマでありながら、いじめや学級崩壊といった現実的な学校の問題はあえて描かず、平和で楽しい、賑やかな学園生活を1クール描ききっていたクドカン。しかし今作は不登校問題を取り入れたよう。向坂キヨシ(坂元愛登)は同じクラスのサコウくんと友達になれるのか?

そしてそのためのツールとして登場するのがラジオ。『ごめんね〜』では劇中ラジオ番組「カバヤキ三太郎のごめんね青春!」が主人公たちの懺悔を受け止めていた。今回はキヨシがサコウくんのために、ラジオ番組にハガキを送る。放送作家の高田文夫に憧れていただけあり、やはりクドカンにとってラジオは特別なもののよう。5話では2022年に36年の歴史に幕を閉じた『大沢悠里のゆうゆうワイド』もネタになっていた(ちなみにクドカンがパーソナリティを務めるTBSラジオ『宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど』に今週、大沢さんゲスト出演します)。

今回、あまりの衝撃展開に、向坂サカエ(吉田羊)とムッチ先輩(磯村勇斗)のツーショットや、八嶋智人の不倫疑惑(実際はけん玉のコソ練)などほかのシーンが記憶から吹っ飛んでいる人も多いと思う。再び泣く覚悟で、TVerで見直そう。

(文:綿貫大介)

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