「前回はちょっと残念な結果だったからね」「平らにツルツルにするんだって」
7か月前、島中から屑鉄を集め、反射炉で初めてアルミを溶かしたが、出口付近で金属が冷めて固まり、上手く取り出せなかった。
というのも、世界遺産・韮山反射炉の内部は、繰り返し使う間に滑らかなドーム状に。
一方、DASH島の反射炉の中は、いくつもの段差が。これでは熱の反射が乱れ、温度が上がりきらない。そこで、作業のあい間に交代で段差を滑らかに削っていた。
今度こそ、溶かした金属で何か道具を作りたい!そこで、動いたのが若手のシンタロー。
訪ねたのは、鋳造の街・埼玉県川口市にある鋳物工場。
こちらで製造しているのは、たい焼きの型やコインランドリーの洗濯機のファン。さらに、2002年日韓W杯で実際に使われたサッカーゴールのポストまで、様々なアルミの鋳物製品。
鋳造は、溶けた金属を型に流し込み思い通りの形にするが、その型を作るのに必要なのが、水分を多く含んだ粘土質の砂。川口市を流れる荒川では、きめ細やかな砂が豊富に取れるだけでなく、かつては出来上がった製品を船で江戸に大量に運搬することもできた。
この砂で木型の形をとり、そこに溶けたアルミを流す。冷やして砂を崩せば、そっくり同じ物ができる。
まずは型の周りを木枠で囲い、上から石灰を振りかける。「型と砂がくっ付くのを防ぐため」
その上から、ふるいにかけた細かい砂を被せていく。粒子の荒い砂では、木型の縁に空洞ができてしまう。
木枠を砂で目いっぱい埋めたら、スタンプと言う道具でしっかり押し固めていく。
砂を崩さないよう慎重に裏返すのだが、詰め込んだ砂は15キロ!さらにもう一段、木枠を重ね、さらに上から砂を被せて固めていく。
そこに、木の棒を挿し、「これがアルミを流す口になります」金属の注入口を。
棒を抜いて出来た穴は、ロート状に削って、流し込むアルミがこぼれにくいように。
そして上段の木枠を一旦外し木型を抜いて、再度、木枠を元通りに重ね合わせれば、器の形の空洞ができる。これでアルミを流し込む準備は完了。
アルミは約700℃まで加熱され、ドロドロに。これをひしゃくですくうが、アルミとひしゃくで合計25kg。若手のシンタローも運ぶのに一苦労。
だが、「早くしないと温度がどんどん下がる!」固まれば流し込めない、時間との勝負。
そして、注入口から一気にアルミを流し込んでいく。すべて手作業。
そして、待つこと30分。砂を崩してみると、木型と同じ形のアルミの器が!
学んだこの技術で、シンタローには作りたいものが。それは、島の仲間と山仕事で使える水筒。
向ったのは、同じ川口市の木材加工場。ここで、その木型を。
材料は、一般には出回らない、希少な国産松の一種・姫小松。目が細かいため反りが少ないだけでなく、軽く、柔らかく、削りやすい。
まずは、ミノとカンナを使って松材を半円状に削り、それを2つ合わせて、さらに、外側もきれいに削って筒状に加工。
学んだ鋳造技術を携え、島に戻ったシンタロー、さっそく城島と共に木枠から製作開始。
鋳型に使う土はスタッフが、森の段々畑の側にある、粘土質の砂を調達。
そして、シンタロー、水筒だけでなく、「こちらがお弁当箱(の木型)です」
これも鋳物の町・川口で。角材を組み合わせて加工し、丸い弁当箱の木型を作っていた。
細かい土で木型を埋めたら、荒い土ですき間を。足で踏んで圧縮、土の中の空洞を減らす。
逆さにして、底にも土を詰めるが、水筒の深さで、砂の量が増えおよそ30kgに。
その上から、さらに木枠を重ねて15kgの土を詰め、木の棒を挿して注入口を。
そして、一旦、木枠を外し、アルミの湯道をつくって、木型を抜いていく…
が、「弁当箱の底面(の土が)がちょっと崩れちゃった…」少しの振動でも土は崩れてしまう。
さらに、水筒の木型は弁当箱より細く深いため、抜く時にもっと崩れやすいが、「きれいに抜けました!」
最後に、木枠を元通りに重ね合わせれば、あとはアルミを流し込むだけ。
しかし、反射炉でアルミを溶かすのに成功したのは、たった一度だけ…!
【DASH島 特設サイト】
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