福士さんは、2011年に俳優デビューして以来、数々の映画やドラマなどで活躍。近年の主な出演作には、『大奥』Season1.2、『弁護士ソドム』などがあり、昨年は大型国際連続ドラマ『THE HEAD Season2』で念願の海外デビューを果たしました。
そんな福士さんが主演する『アイのない恋人たち』は、2024年の東京に生きる不器用で不恰好なアラサー男女7人の恋愛群像を描く、脚本家・遊川和彦さんによるオリジナル作品。「愛がない」「見る目(eye)がない」「自分(I)がない」など“アイ”が欠けている者たちによるラブストーリーとなっており、33歳の売れない脚本家・久米真和役の福士さんをはじめ、岡崎紗絵さん、本郷奏多さん、成海璃子さん、前田公輝さん、深川麻衣さん、佐々木希さんが、それぞれワケありのアラサーを熱演します。
この度、主演を務める福士さんにインタビュー。遊川さんの脚本の印象や演じる役について、また幼い頃のテレビにまつわる思い出を聞きました。
福士蒼汰、30代を迎えて感じた20代との変化
――本作は、遊川和彦さんによるオリジナル脚本。台本を読んで感じた印象を聞かせてください。
男女7人のキャラクター性がとても個性的に描かれていて、その個性がぶつかり合う部分が面白そうだなと思いながら読んでいました。
――演じる久米真和は、基本的に「3回会った女性とは連絡を絶つ」と決め、後腐れない関係でいられる相手をアプリで見つけては、出会いと別れを繰り返すというキャラクター。役の印象も聞かせてください。
テレビの世界で成功することを信じて、アルバイトをしながら売れっ子脚本家を目指す真和。この職業を崇高だと思っていて、サラリーマンの友人とは違う、「自分は特別」だと心の中で一線を引いている。それゆえに強がり、自分らしくいられない人物なんだなという印象を持ちました。
――これまでたくさんの恋愛作品に出演してきた福士さん。今回は「愛がない男」を演じることとなりますが、難しさは感じますか?
そうですね……僕自身は愛情深いタイプなので、「愛のない表現というのはどういうことなんだろう?」と悩むときもありました。
――その悩んだ部分は、どうやって解消したのでしょうか。
監督と相談させていただきました。そして自分なりに考えた結果、「真和はピュアな心を持っているけれど、そのまま表現しない」という表現に行きついて。ピュアな心を持ちながらも隠すのが、真和の“愛のない”部分に繋がると思いました。
――真和の他にも、一癖二癖あるキャラクターばかりが登場します。現場の雰囲気はどのようなものなのでしょうか?
実はまだ、みんな集まるシーンの撮影はしていないんです(※取材時)。岡崎さん(今村絵里加役)と佐々木さん(稲葉愛役)とはそれぞれ1対1のシーンを撮影し、仲良くお話させていただきました。お二人とも気さくな方なので、すごく話しやすいです。男性陣とはまだあまり一緒のシーンがないのですが、どうやってコミュニケーションをとろうか、今考えているところです。
――本作は「30歳」という人生の節目に悩む男女の物語。福士さんも今年30歳を迎えましたが、20代と比べて明らかに変化したことは?
周囲の反応でしょうか。「29歳です」と言っていた頃は「まだ20代なんだ! 若いね!」という反応だったのが、「30歳です」と言うと「もう30歳なんだね!」と(笑)。20代と30代とではここまで捉え方が違うんだなと、驚きました。
――若い頃から活躍している方たちに対して、「まだ20代なんだ!?」「もう30代なんだ!?」となる感覚はわかる気がします。
『仮面ライダーフォーゼ』や『あまちゃん』に出演していた当時は、まだ10代だったので、それらの作品から応援してくださっている方からしたら、30歳というイメージがあまりないようで。「もう30歳なんだ!?」と驚かれることが多いです(笑)。
「テレビは家族みんなで見る」幼い頃の思い出
――ここからは、福士さんとテレビの関わりについて聞かせてください。幼い頃はどんなテレビ番組を見ていたのでしょうか?
僕の家には「テレビはリビングにしか置かない」と母が決めたルールがあり、自然と家族みんなでテレビを囲んでいたのを覚えています。お笑い全盛期(※2000年代お笑いブーム)は、『エンタの神様』や『はねるのトびら』をよく見ていました。また、姉と一緒に見ていた『あいのり』も好きでした。
この業界に入って嬉しかったのは、『笑っていいとも!』に出演できたこと。昔からずっと見ていたので、そんな番組に出られるだけでなく、タモリさんとお話もできたなんて今でも信じられません。出演した時は「僕のせいで面白くなくなってしまったらどうしよう」と、嬉しさよりも緊張の方が大きかったです(笑)。
――では、今見ているテレビ番組は?
バラエティだと千鳥さんの番組はよく見ています。ドラマは、それこそTVerで見ることが多くて。リアルタイム視聴を逃してしまったときは、活用させてもらっています。
――福士さんが役者活動をする上で大事にしていることや信念はありますか?
「心で演じること」でしょうか。嘘偽りない、その時感じた思いを大事にしたいなと。脳ミソではない、ハートで感じるものを、お芝居はもちろん、人としても大事にして生きていけたらと思っています。
――ありがとうございます。最後に、『アイのない恋人たち』の見どころを聞かせてください。
男女7人の恋愛模様が中心となって、物語が展開していきます。その中で7人がどう成長していくのか。そこが見どころとなっているので、是非注目してください。
取材・文:米田香織
撮影:松本理加
ヘアメイク:甲斐学美(wani)
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