竹財輝之助が語る“料理”の魅力「時短じゃ意味がないんです(笑)」

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岡田結実さんが主演を務める土曜ドラマ9『最果てから、徒歩5分』(BSテレ東/BSテレ東4K、毎週土曜21:00~)が好評放送中。自殺の名所「志手の岬」から徒歩5分にあるオーベルジュ・ギルダを舞台に紡がれる、悲劇と喜劇のヒューマンドラマ。本作で、ギルダのシェフ・大森膳役を竹財輝之助さんが演じています。

自身のSNSでも度々美味しそうな料理を披露している竹財さんですが、今回フレンチに初挑戦。料理のお話を中心に、ご自身が壁にぶつかったときの対処法など、プライベートにも迫りました。

――第1話の登場シーンからインパクトがありましたが、かなり原作に忠実だなと感じました。

原作に寄せるというのは、僕の中で絶対条件です。もちろん限度はあるし、現場で生まれたものも大事にしますが、極力漫画を読んだときの印象に近づけるようにしています。

――漫画ではわからない“声のトーン”についてはいかがですか?

僕が原作を読んだイメージだと、膳さんはもうちょっと(声が)枯れた人でした。でも、現場で最初にパッと出た声のトーンで、「これでいこう」と。僕は声に自信がないので、声のトーンについては実際に相手の方とお芝居をしてみて決めることが多いです。

――ふだんから役作りをされる上で、何かルーティンにしていることはありますか?

ルーティンを作らないのがルーティンですかね。ルーティンを作っちゃうと、どうしてもそれをやらないと気持ち悪かったりすると聞いたことがあるので、あえてルーティンは作らないようにしています。ただ唯一ルールといえるのは、演じるキャラクターの下調べをして、その人の歴史年表みたいなものを作ることです。

――紙に書き出したりされるのですか?

今は、頭の中で考える感じです。昔はちゃんと書いていましたが……(笑)。ただ、今でも台本に気になったことを書き込みますし、必ず役が生きてきた流れを作るようにしています。

――その上で、現場に入ったら感情で動く……という流れに?

そうですね。僕がお芝居をする上では(撮影前の)役作りがすべてなので、現場に行った瞬間に忘れてしまいます。現場に入る前に作ったものが自然と出てくると思っているし、僕にとってはそれが一番大事です。

――膳を演じる際、どんな点を大切にしていますか?

一番は、膳さんの背骨にもなってくる料理に関すること。料理にすがっているわけじゃないですけど、唯一ある背骨がお料理だと思うので、そこを大切にしています。

――もともと竹財さんは料理がお上手ですが、役のために練習も?

フレンチを作ったことがほとんどなかったので、今は時間があればフレンチを作るようにしています。あとはやっぱり、テレビに出るときは“プロの料理人”として出るわけじゃないですか。プロの料理人って、どの料理をやられる方もみんな所作が美しいんですよね。たとえば、寿司職人さんだったらリズムを取りながら握られる方が多かったり、イタリアンだったらパスタを作るときに適当に鍋を振っているように見えて実はすごく丁寧にやっていたり。そういった雰囲気が出せたらいいなと思って意識しました。

――ちなみに、どんなお料理を作られたのですか?

フレンチの基本に、バターを使ったブールブラン・ソースというのがあって、それを魚に合わせてみました。あとは、現場の近くに獣の肉を売っているお店がたまたまあったので、猪肉や鹿肉を買って、火入れだったり、ソースの重ね合わせ方だったりを勉強しました。

――竹財さんはイタリアンレストランで働かれていたことがあるそうですが、まったく違うものですか?

全然違いますね。きっとベースとなるものは一緒ですけど、イタリアンは良くも悪くも“その人なりの料理”が作りやすいものだと思っていて。でも、フレンチは本当に細かいというか、ちゃんとした手順を踏まなければ最後の出来上がりまで辿り着けないイメージがあります。

――膳さんはすごく楽しそうにお料理されますけど、竹財さんご自身はいかがですか?

僕は“無”です(笑)。一番“無”になれる瞬間で、リラックスできるから料理が好きなんです。細かい作業や下準備も嫌いじゃないので、よくファンの方とかに「時短料理を教えてください」って言われるんですけど、時短じゃ意味がないんですよ(笑)。日々の生活の中で料理をするときには、手軽に美味しいもの食べたいと思うんですけど、僕はその逆をいってますね。

――生活のための料理と、生活から離れるための料理という違いですね。今回の現場はどんな雰囲気ですか?

座長の岡田さんがめちゃくちゃ明るいので、すごく和気藹々としています。体力的にもスケジュール的にも一番キツいと思うけど、誰よりも元気なので、みんなつられて楽しくやっています。

――どんなことをお話されていますか?

もう、他愛のないことです。どの現場でも一緒ですが「あそこのラーメンが美味しい」とか、ロケ地の近くの食の共有とか。僕以外の3人(岡田、栁俊太郎、内山理名)はサウナがすごく好きなんですけど、僕は大嫌いなので「ふーん」と思いながら聞いています(笑)。

――今サウナブームですが、サウナのどこがお嫌いなんですか?

あんなにツラいことをやる意味がわからないです。「なにが“ととのう”だ」って(笑)。僕はマラソンも嫌いなので、時代と逆行している人間だなって思います。

――ドラマには生きる意味を考えさせられるようなところがありますが、竹財さんが「生きてるな」と感じるのはどんなときですか?

飯を食べているときですかね。やっぱり、このドラマもそうだと思うんですよ。もちろん言葉が響く人もいるだろうし、その言葉を響かせるための準備段階として“美味しい料理を食べさせる”というのが、僕にとってはこの作品のポイントではありますけど。僕自身は、食べているときが一番好きですね。美味しいラーメン屋とか、美味しいパスタを作ってくれるシェフを見つけたときには感動します。

――お店探しはどうやってされるんですか?

人づてが多いです。地方にロケに行ったときには、タクシーの運転手さんに聞いたり、口コミ投稿サイトで調べて評判が良さそうなところに入ってみたり、という感じですかね。

――結構、冒険できるタイプですか?

僕は、口コミ投稿サイトの評価が3.5以上でなければ行かないと決めています(笑)。ただ、評価が3.1でも、知っている方が「美味しい」と言うなら行きます。実際に食べてみて、その人の好みを知りたいという気持ちもあるので。

――たしかに“食”で人が見える感じはありますね。

そうですね。やっぱり生きていく上で必要なものなのですから。値段が高ければ美味しいというわけでもないし、だからこそ美味しいものに出会ったときには喜びを感じます。

――ドラマには、人生に悩む人々が毎回登場します。竹財さんは、たとえば壁にぶつかったときに「こう考えると生きやすい」というものはありますか?

登れなそうな壁だったら、1回どこかに離れます。諦めるわけではないですけど、「登れそうにないものを今登っても仕方ねぇな」と思う方なので、1回離れてみる。それがすべてではないと思うので、他の壁を見てみたり、もうちょっと低い壁を越えて自信を付けてみたりすることは大事かなと。それこそ、今回の作品で夕雨子さん(内山)の台詞にある「選択肢が増える」という言葉がすごく好きなんです。特に僕は役者として選択肢は無限に増やした方がいいと思っているので、興味を持ったものには手を出すようにはしていて。選択肢が少ない人が追い詰められてしまうのかな、という部分にはすごく共感しているので、目の前の壁だけではなくて、他の壁も見てみたらいいのかなとは思います。

――お忙しい日々を過ごされていると思いますが、役者として「今が勝負だ」と思われたりしますか?

全然ないです。僕は勝負したことがないですから(笑)。ありがたいことにお仕事はできるようになってきてはいますけど、「今、たまたまじゃない?」くらいの感じです。もちろんやりたいことはありますけど、特に高い目標があるわけではないので、たぶんこのまま、のら~りくら~りとやっていくんだと思います。

――では、あらためてドラマの見どころをお願いします。

毎回悩みを抱えたゲストの方がいらっしゃいますが、みなさん濃いので、そこを楽しみにしていただきたいです。このドラマは、悩みを抱えた人に選択肢を増やして“あげる”というほどではなくて、ゲストの方が勝手に感じて選択肢を増やしてくださる、という感覚です。言葉でもいいし、料理でもいいし、人でもいいし、「なんか楽しそうだな」と思ってもらえるような、温かいものをお届けできたらいいなと思っています。膳は美味しそうな料理を作ってお出ししているので、そこも楽しんでもらえたら嬉しいです。

(取材・文:nakamura omame)

<第2話あらすじ>
幸田すもも(岡田)は憧れの女性・白石夕雨子(内山)に促され、ギルダで働き始める。そこに訪れた、「不倫報道」で世間を賑わす女優・坂本柚月(橋本マナミ)。

死ぬためにこの地に来た柚月だったが、従業員の是枝息吹(栁)との交流を通じ、心境に変化が生まれてゆく……。

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