【ネタバレ】『生きるとか死ぬとか父親とか』トキコの心に影を落とす家族の過去と赤い花の女

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ラジオパーソナリティーでコラムニスト、ジェーン・スーのエッセイを原作に据え、吉田羊×國村隼のW主演で家族の愛憎物語を描いた『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京)の第10回が、6月11日(金)に放送された。

今回は、前回に続いて「過去編」である。自身の辛い記憶に蓋をしたことから、母の記憶そのものが風化されていると気づいたトキコ(吉田羊)は、初めて母について全てを書くことを決意する。

それはトキコがまだ若い頃(松岡茉優)。父・哲也(國村)の入院中に母(富田靖子)のがんが発覚し、入院・手術することになったため、勤め始めたばかりのトキコが会社を休職。父と母のW介護状態になったときの話だ。

若い頃でも、いつか自身にやってくる「老後」はぼんやりと考えたことがある人も多いが、その前にやってくる「介護」については考えたことのない人がほとんどだろう。ある日突然、何の準備もない段階でやってくるのが、親の介護だ。しかも、トキコの場合はW介護だっただけでなく、父が薬の副作用で不安定になって屋上から飛び降りようとしたため、医師から泊まり込みで付き添うように言われてしまう。

両親が同時に倒れるという不測の事態。ましてやトキコは一人っ子で、相談できる相手もいない。母の姉たちには交代で母の見舞いを頼んでいるだけに、父のことまで頼めないし、他には・・・? そこで、どうしようもなくなったトキコが助けを求めたのが、回想シーンとして度々挟まれる不穏な映像、「母の苦手な赤い花」を持ってくる赤いコートと赤いヒールの女性だった。

父の病院にやってきた女性は、頼ってくれてありがとう、とトキコに言う。そして、病院のベッドを囲むカーテンを閉め、父と女性のシルエットが浮かび上がる。淫靡で毒々しく、どこか悪夢のような光景だ。

もちろんトキコは、その女性を娘として認めたわけではない。ほかに頼れる人がいなかったのだ。母も気づいてはいただろう。そうした悔しさや傷ついた心を忘れるために、記憶に蓋をしてきたのだった。

母の墓参りの際、東屋で弁当を食べながら当時のことを思い出し、「私もお母さんも、平気なフリしてたけど、今思えば全然平気なんかじゃなかった。傷ついていたんだよ」と、泣きながら初めて苦悩を吐露するトキコ。

ここまでに回想シーンとして挟み込まれた若き日のトキコ役を松岡茉優が演じていることに対し、正直、現在の吉田羊とはずいぶん雰囲気が違うなと思っていた。しかし、介護を経て病院の廊下を歩く後ろ姿、病室で医師の説明を聞く様子など、どんどん現在の吉田羊と重なって見える。記憶に蓋をし、現在はラジオパーソナリティーとして華々しく活躍しているとはいえ、その一件がトキコの心に暗い影を落としているのは間違いない。

母が亡くなり、その不在を埋めるように哲也とトキコが思い出を語り合ううち、母が神格化され、信仰の対象となっていったという。「良くできた母と、好き勝手に生きている父、出来の悪い娘の3人家族」はいったん終わったが、「信仰」に形を変えつつ、三角関係は今も続いている。人の死というのは、案外そういうものかもしれない。

(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)

【第11話(6月18日[金]放送)あらすじ】
母が亡くなった後、父(國村隼)の商売は上手くいかなくなった。ある日、家賃の催促状が届く。父はトキコ(松岡茉優)に黙って家を手放していたのだ。二人の関係はどんどん悪化していった。引っ越しのための片付けに、トキコは友人の北野(大友花恋)とミナミ(さいとうなり)を呼んだ。着々と作業をする中、3人は母の「秘密」を見つけてしまう。
そして、現代のトキコ(吉田羊)はこの話をどうしても書き進めることができなかったが・・・。

◆放送情報
番組名:ドラマ24『生きるとか死ぬとか父親とか』
放送日時:毎週金曜深夜0:12~
放送局:テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
※テレビ大阪のみ、翌週月曜深夜0:00から放送
地上波放送後に動画配信サービス「Paravi」でも配信

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