しゃべりすぎ上司を撲滅、進化するオフィス

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ユニークなオフィスで注目される企業向けウェブ電話帳サービスのスタートアップ、PhoneAppli。上司と部下の1on1ミーティング用のブースでは、センサーが会話を自動分析し、上司がしゃべりすぎていないかチェックする。前編に引き続き、ツクルバの村上浩輝CEOとともに、スタートアップの課題をオフィスの仕組みを変えることでどのように克服し、成長につなげるのかについて考える。

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瀧口:今週も引き続きPhone Appliさんのオフィスにお邪魔しています。ガラス張りの空間がありますが、こちらは何ですか?

中川:ここは上司と部下が面談、"1on1"をする専用のブースになります。

瀧口:この密閉空間で面談されるんですね。

中川:ぜひお入りください。ガラス張りなので圧迫感はほとんどないですね。

神先:センサーがありますね。

中川:そうなんです。秘密の仕掛けがありまして。このセンサーがあるものを測っています。

瀧口:何を測っているんですか?

中川:実は30分の面談をルール化しているんですけど、その中で上司と部下の話している割合を測っています。"しゃべりすぎ上司"を撲滅しようと思いまして。

瀧口:そういうことですか(笑)。

中川:面談が終わると自分が60%話して部下が40%話したよというのが分かるようになっています。

神先:このボックスが無かったころに比べて1on1の結果は変わりましたか?

中川:如実に変わりましたね。このボックス自体がなかった時は会議室を使っていたので、お客さまをお出迎えする空間を社員が埋め尽くしてしまい、お客さまを呼べなくなってしまったことが一つ。そしてセンサーを置いてからの効果もありましたので、それは後ほどご紹介します。

瀧口:誰にも聞こえない空間なので、本音で話せそうですよね。

神先:ドアを閉めたら音も聞こえないですもんね。

中川:音は完全に漏れないようになっています。

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瀧口:結構落ち着きますね、狭い空間って。

神先:そうですね、周りの音も聞こえないですし。

瀧口:実際センサーを使ってどのように読み取っているんですか?

中川:今実際に出してみましたが、こちらが私と部下の過去の分析なんです。前回は私が64%話していて部下が35%なので、これは良くない例ですね(笑)。

瀧口:理想はどのくらいですか?

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中川:理想の量としては部下が60%くらいです。もちろん量だけではなくて、横軸が上司の発言割合。要するにどれくらいしゃべっているか。縦軸が部下の発言のテンポです。つまり1センテンス何秒くらいだったかということがわかります。

瀧口:上にいくほど長くしゃべっているということですか?

中川:上に行くほどだらだらとしゃべっているという状態なんですが、コーチングって最近よく言うじゃないですか。ちゃんと部下の思いを引き出したり、部下に気付かせる。左上の緑のゾーンに入っている状態が、発言テンポと量から見てその状態にあたるという研究があるので、ここに入るようにしましょうと指導をしています。

要するに上司が少なくしゃべって、部下が長くしゃべる。逆が一番最悪で、上司が「あれはどうなっているんだ、これはどうなんだ」と言って部下が「はい、すみません」と短いセンテンスしか言わない。なのでそこにいかないようにしようということを、センサーを使ってデジタルで社員のみんなに気付いてもらおうという仕掛けになっています。

瀧口:面白いですね。自分じゃどれだけしゃべっているか気付かないですよね。村上さん、この1on1ブースどうでしょうか?

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村上:非常に素晴らしいと思います。リクルートやYahoo!では「よもやま」という制度がありまして、必ず上司と部下で毎週1on1をやる。やらないと評価が下がるくらい厳格に運用しているらしいんですが、それくらい大事だと。しかもよもやまだとルールが決まっていて、上司がほとんど話しちゃいけない。席について対峙して、絶対上司からしゃべらない。だんだん気まずくなってきてボロボロ出てくる。でもだらだらでもいいから話させるというのがすごく大事で。

最初は「お前悩みは何だ」って聞いても「いや、大丈夫です、元気です」って言うんですけど、だらだら話すと出てくる。それを自分でやるのは難しいので、まさにこの仕組みがあるとデータで仕組みとしてできる。素晴らしいと思います。

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中川:ありがとうございます。実はこれはしゃべりすぎ上司をリストアップできるので、そこから1on1トレーニングを受けてもらうんです。投資対効果もあって。結局聞けている上司に1on1のトレーニングをさせてもあまり意味ないですよね。ちゃんと分かるので。教育という観点でも判断材料になっているなと思います。

瀧口:神先(孝裕)さんもケップルの代表でいらっしゃいますから、こういった組織作りに悩まれるのかなと思いますが。

神先:うちも今40~50名いますからコミュニケーションがなかなか難しくなってきていますね。ただ1on1を下のリーダーにさせてもクローズドな関係で、私自身も可視化できていなかったんです。この仕組みだとリーダーが普段どんな1on1をやっているかというのがデータで見れるので、経営陣も非常に安心して下のメンバーに任せられるかなと言う感じですね。

瀧口:スタートアップだとどんどん新しい方が入ってくるので組織作りは課題になってくると思いますね。

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