熊本地震が起きた際、東京に奥さんを残し、仕事を辞めて実家がある熊本で暮らすようになった中島さん。現在はお父さんとお婆さんと3人暮らし。東京にいた時のお仕事はフリーランスのディレクターで、NHKやTBSで番組の制作を手掛けていたそうです。そんな中島さんの現在のお仕事は映像クリエイター。
築84年の自宅に到着! 平屋建てのお家の敷地は広く、納屋では50羽近いニワトリを飼っています。
お父さんの元比古さん(69歳)は突然訪れたスタッフに「昔、カレーライス屋をやっていた。シェフは僕。シェフじゃなくて主夫(笑)」とオヤジギャクをかましながら、カレーを振舞ってくれました。カレーには、納屋のニワトリの卵がのっており「美味しい~」とスタッフ。
祖母のふさ子さん(89歳)は、阿蘇神社で戦後初めて結婚式を挙げた第1号だということが判明。当時19歳で受験勉強をしていたふさ子さんですが、「学校よりもお嫁にあげたほうが片付くから」という理由で、親が勝手に結婚を決めてしまったそう。しかし、「結婚してよかったですか?」という質問に「ま、悪くなかったでしょうね」とニッコリ笑うふさ子さん。
お父さんやお婆さんがいる1階のお部屋から、2階にある中島さんのお部屋へ移動。熊本地震の時は倉庫だったという部屋は改築されており、おしゃれな空間に大変身!
この空間が中島さんの仕事部屋であり、寝室となっていて、改築費は車1台分だそう。東京にいる頃はテレビ番組の制作を手掛けていましたが、現在は行政のPRや旅館のプロモーション映像などを制作しています。19~25歳までアメリカに留学し、その後制作会社へ。ADの頃は、忙しすぎて血尿が出ていたと語ります。
本日撮影していた阿蘇神社の映像を見せてもらうことに。テレビ番組では通常30フレーム(1秒間に30枚の画像)のところ、中島さんは120フレームと超スローで撮影。さらに、カメラを逆さまにすることで「迫力のある映像が撮れる」と、独自で編み出した撮影方法を教えてくれました。これには番組スタッフも「スゴイですね!」とビックリ。
中島さんが「神社の許可を得て、勝手に映像を撮っています」と言って見せてくれたのは、地震で崩壊した阿蘇神社が復興していく映像。「工事現場は覆われているので、一般の人たちはどんな風になっているのか見られない。これは伝えるべきだな」と思ったそうで、ボランティアで活動を続けています。
中島さんはこれらの映像を、神社の許可を得てYouTubeで配信。「この映像を見て神社にお客さんが来てくれると、お賽銭を入れてくれて、神社の復旧が早まるロジックです」と語ります。しかし、なぜそこまでして神社に尽くすのでしょうか?
「子どもの頃から馴染みがある。卒業式の写真も結婚式も阿蘇神社でウチの親父も(結婚式を)挙げていて」と中島さん。「人生の節目に欠かせない阿蘇神社が潰れているのを見て、自分の何かで助けられないかと思って、動画で気持ちを繋げたいと思った」と語ってくれました。
「実家で2~3週間休もうかな」とたまたま帰省していた時に被災した中島さん。「東京に帰ろうとしていた飛行機がキャンセルになり、もうちょっと残ろう。落ち着くまで僕が側に居てあげないといけないと思った」と当時を振り返ります。
一番被害が大きかったのが阿蘇神社で、神社には「大丈夫か?」という電話が殺到していたそう。その時、お父さんから「お前、神社で何かできることないか?」と言われ、「SNSで発信すれば、(安否確認の)電話も少なくなって、復興に集中できるのでは」と考えたと話します。中島さんはすぐさまFacebookを立ち上げ、ホームページの枠組みを制作。「ボランティアってショベルカーで作業するイメージもあるけど、そういう支援の仕方もあるかなと思って始めた」とコメント。
行政やPRの仕事だけではギリギリ食べていける程度のお金にしかならず、東京にいる頃に比べると収入は3分の1になってしまいましたが、もう東京に戻る気はないそう。「奥さんには熊本に来て欲しいけどね」と語ります。
「前は"この企画だから絶対視聴率取れます"って(思いで)番組を作っていたけど、自分が好きなものを作って提案してそれが喜ばれるって東京では体験出来なかった。視聴率は関係ない...発信はし放題」と晴れやかな笑顔に。これからも、地元の阿蘇から素敵な映像を発信してくださいね! 楽しみにしています。
この放送は、現在「ネットもテレ東」で配信中です。
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