『春になったら』木梨憲武“雅彦”の「死ぬまでにやりたいこと」リストの7つ目は…?

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ただ相手の幸せを願っているだけなのに、どうしてこんなにすれ違うのだろうか。

椎名瞳(奈緒)も、雅彦(木梨憲武)も、川上一馬(濱田岳)も、なんだかすごく苦しそうだ。『春になったら』(カンテレ・フジテレビ系、毎週月曜22:00~)第5話は、春になる前の寒さがいちばん厳しい季節のような回だった。

相手の気持ちになれていない犠牲や我慢は、ただのエゴだ



瞳との結婚のために芸人を辞めた一馬。無事に正社員での雇用も決まり、結婚へのハードルを突破できたようにも見えた。けれど、瞳の表情はすぐれない。むしろ一馬が芸人を辞めてしまったことに罪悪感を抱いているようだった。

瞳は、夢を追いかけている一馬が好きだった。恋人になるよりも先に、芸人・カズマルくんのファンだった。だから、自分のせいで一馬が夢をあきらめてしまうことが嫌だった。一馬の決断は、瞳のことを考えているようで考えられていなかったのかもしれない。

一方、瞳もまた一馬と結婚しないと決める。もちろんそこには結婚に向けた一馬との意見の食い違いもあったかもしれない。でもいちばんの理由は、やっぱり雅彦だろう。あと2カ月で雅彦はこの世からいなくなってしまう。そんなときに結婚なんて考えられない。瞳の心の容量はもういっぱいいっぱいだったのだ。

でも、そんな瞳の決断に今度は雅彦が鈍い顔を浮かべる。結局、瞳も一馬も同じなのだ。それぞれ相手のために何かをあきらめたり、自分の想いを犠牲にしたりしている。だけど、相手はそんなことをまるで望んではいない。だから、こんなにもすれ違うんだろう。相手の気持ちをわかろうとしているつもりで、ちっとも相手の気持ちになれていない。⼤⾥美奈⼦(見上愛)の言葉を借りるなら、瞳や一馬のやっていることのほうがよっぽど「エゴ」なのかもしれない。

あんなに反対していたくせに、一馬が芸人を辞めることも、瞳が結婚をあきらめることも、雅彦はちっとも喜んでいない。むしろショックを受けてさえいるようだ。雅彦は一体どうしたいんだろう。当初は本気で反対していたものの、今はただ引っ込みがつかなくなっているだけに見える。瞳がどれだけ一馬のことを大切に想っているかも、一馬がいいやつであることも、もう雅彦は十分わかっているはず。

それぞれが相手のことを考えた結果、食い違ってしまったこのどん詰まりの状況を、オセロのように綺麗にひっくり返せるのは、雅彦しかいない。一度は離れてしまった瞳と一馬の距離を再び近づけるのが、雅彦の役目だ。そう考えると、雅彦の「死ぬまでにやりたいこと」リストは今のところ6つ。7つ目に加わるのは、瞳と一馬の結婚式なのかもしれない。

雅彦は自分の死を本当に受け入れているのだろうか



ただ、そんな雅彦にも刻一刻と死の気配は近づいている。仕事中にも痛みをこらえる素振りを見せ、人知れず洗面所で血を吐いた。病魔は少しずつ確実に雅彦の体を蝕んでいる。いつまでも父の死を受け入れられない瞳に対し、雅彦は一貫して飄々とした態度をとっているけれど、それはどこかハリボテの強さに見えなくもない。死を前にして、人は本当にあんなに明るくいられるのだろうか。

今回、白井美緒(東野絢香)というシングルマザーが登場した。産まれたばかりの我が子を毎日SNSにアップし、幸せ絶頂のように見えた白井。だけど、その内面はひとりで子どもを育てる孤独と不安で追いつめられていた。白井の存在は、ひとりでなんでも抱え込んでしまう瞳の鏡像として配置されていたけれど、個人的には雅彦の中にも白井に通じるものがあるように感じられた。

可哀相に思われたくなくて、他人の前では取り繕ってしまう。でも、本当は誰にも言えない恐怖がずっと胸の内に渦巻いている。それを悟られたくなくて、さらに強がる。雅彦の悠然とした構えもまた死という現実を受け入れているようで、どこか数センチ視線をズラしているような虚勢を感じる。

むしろここから先、どこかで雅彦は「死にたくない」と思う瞬間が来るんじゃないだろうか。まだ生きていたい。もっと瞳のこれからを見ていたい。「忘れられない思い出」に「瞳が産まれたとき」を挙げるような愛情深い雅彦が、これからもっと幸せになっていく瞳を残して、一点の悔いも心残りもなく旅立てるとは、にわかに信じがたい。むしろ、そういう本音の、いちばん人の弱いところを描いてこそ、僕たちも人生のピリオドについて深く考えられる気がする。

雅彦に残された時間はあと2カ月。否認、怒り、取引、抑うつ、受容の5つのステップの先にあるものをぜひ見せてほしい。

岸くんの「カズマルくんさん」呼びに萌えました



そして、いよいよ岸圭吾(深澤辰哉)が暴走しはじめた。偶然出くわした一馬に対し、ほぼ宣戦布告に近い忠告をする。態度は敵対心バチバチなのに、呼び方が「カズマルくんさん」なところが人の良さが出まくっていて可愛らしい。たぶんさかなクンのことも「さかなクンさん」と呼ぶし、なかやまきんに君のことも「なかやまきんに君さん」と呼ぶタイプ。

そんな丁寧すぎるところもありつつ、相変わらず美奈⼦からの気持ちに対しては超絶的に鈍感のまま。今回なんてあんなに真正面から「私はあなたが好きです」と言われてたのに、完全スルーだった。そういうところだぞ、岸くん!

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