原作は、「このマンガがすごい！」2020オンナ編13位受賞のほか、数々の賞を受賞し話題となったはらだによる感涙必至のコミック。惰性で毎日を送っていたコンビニ店員の幸紀（上杉）は、うっかりチンピラに刺され瀕死になった際、遠のく意識の中で、真っ白い羽の美しい「天使」（西村）を見ます。その後すっかり完治して、帰宅してみると、そこにはあの時の天使が……。天使のふてぶてしい態度に戸惑いつつ、記憶もなく、飛べないというのを不憫に思い、しばらく家に置くことに。奇妙な同居生活を送る中で、死んだように生きていた幸紀の心に、ある感情を芽吹かせます。
この度、取材日の一昨日にクランクアップを迎えたばかりというおふたりに、インタビューを実施。わずか2週間という超タイトなスケジュールで行われた撮影のエピソードやドラマの見どころを聞きました。
見どころは「目線」＆「ビジュアル作り」
――本作への出演、そして主演と聞いたときのお気持ちはいかがでしたか？
上杉：ほぼ2人の会話劇というのもあり、役者としてはとても難しいですが、2人芝居ができるなんて最高の環境だと思いました。素晴らしい作品をつくれるか、不安も感じましたが、ワクワクしました。主演についてはどの役でもやることは一緒だと思っているので、そこに意識はありませんでした。
西村：“人の愛”があふれる作品だなという印象を持ちました。ですので、見やすくて、温かい気持ちになれる作品になると思っていました。主演については、ライブ会場の広さもそうですけど、いただいたお仕事の大きさで僕たちがやることが変わるわけではないので。でも周りの人やメンバーが「すごいね」「主演や、主演や」と褒めてくれたので、グループ（Lilかんさい）を代表して、頑張れたらいいなと思っていました。
――本作の見どころとは？
西村：間（ま）は一番大事にしていた気がします。マンガではできない目線のお芝居がドラマではできると思うので、ジョークを言い合うシーンなども目をつかいながら演じました。
上杉：注目は目線だと思います！ 何かめちゃくちゃ大きなイベントがそこまで起きるわけではない中で、2人がちょっとずつ変化していく。例えば目が合う回数が増えてきたとか、そういうのも含めて目線というのは、お互いに話し合ったわけではないですが、意識していた気はしますね。
西村：基本的にはワンルームをメインに話が進んでいくので、2人の掛け合いも見どころですが、お互い1人のシーンが結構大変でした。僕は全身を使ってお芝居をしたので、1人芝居のシーンにも注目してほしいです。あと、イメージに合わせて、僕はビジュアル作りに力を入れました。毎日、（ヘアメイクを）自分でやっていたので、髪も撮影中3回ぐらい切って、質感とか長さや分け目なども（監督と）話しながら顔をつくりました。
――撮影で大変だったことや苦労したことはありますか？
上杉：環境と時間の制約ですね。本当にワンルームでの撮影だったのですが、別の1部屋に機材を置いたり、カメラが引きで撮ったりといった環境で、8畳ぐらいのワンルームにスタッフ10人みたいな。
西村：羽が大きかったので、汗をかかないように（スタッフが）扇風機を当ててくださり、みなさん暑い中で本当に頑張りました。撮影期間についてはドラマの経験が少ないので、ドラマは忙しいものなのだろうと思っていました。
上杉：短い撮影期間でしたが、そのおかげでずっと役でいられたっていうのはあります。贅沢だったなと、集中できました。
お互いの第一印象と新たな一面に驚きも!?
――お互いの第一印象はいかがでしたか？
西村：渋い。でもYouTubeを拝見していたので、そのままの印象の方でした。おしゃれでかっこいいな、背が高いなと思いました。
上杉：まず声を聞いて、もう僕が思っていた「天使」そのものでしたし、むしろそれ以上でした。声だけの本読みは集中しづらいし、現場ではないからわかりづらいこともあるのですが、そんな中でも声の芝居だけですごい上手な方だなと思ったのが第一印象です。何となく「天使」という存在だけを考えたら、どういう風になるのか不安だったものが一瞬で取り払われたのが印象的でした。その上、すごい気さくで明るいし、かわいい子だなと思ったのを覚えています。
――共演してみてお互いの新たな一面や意外だと思ったところはありますか？
西村：僕や、現場のスタッフさんのしょうもないことにも反応してくれて、「おおい、それやめろ」とツッコんでくれるのがうれしいですね。クールな方だと思っていたからうれしかったです。
上杉：めっちゃ食べる！ びっくりするぐらいご飯食べますね。空き時間に「パスタ食べてきました」とか言っていて、いやこのあとお昼だよ？ っていう。（お昼も）弁当を2個食べていました。あと、元気ですね。朝早くから遅くまで撮影をやったのに、翌朝「家で結局、携帯を見てたら（寝たの）3時でしたよ」って。よくそのテンションで次の日元気に朝来られるねって、すごい元気印。
――撮影が終了した今だから感じる、お互いの魅力は？
西村：柊平くんはやりたいことが明確なんです。すべての行動、すべての台詞、言い方、間合い、全部に意思があって、相手のことを考えて、求められていることも考えて、頭をつかってお芝居されているんだな、かっこいいなと改めて思いました。
上杉：経験関係なく、表現する力をものすごく持っている方だっていうのは今回すごく感じました。同じ土俵で2人芝居をやって、僕は完全に役者さんだと思って接し、演じてきましたので、めちゃくちゃ魅力的で、他の役でもまたお芝居してみたいなと、すごく思います。そのときに、どういった表現をし合えるのか、そういった化学反応のようなものを現場で感じられたらいいなと思う役者さんでした。
（取材・文：佐藤文子）
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