『VIVANT』堺雅人“乃木憂助”が「別班」なのか?浮かび上がる二重人格説

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おそらく日曜の夜から各種検索エンジンでやたらと「別班」が検索されているに違いないだろう。

日曜劇場『VIVANT』(TBS系、毎週日曜21:00~)は私たちが予想もしていない方向へと舵を切りはじめている。

これからは仕事ができる優秀な人を「ドラム」と呼びたい



「ネットに載ってるぞ。どんな検索エンジンでも1ページ目だ」

そう野崎守(阿部寛)に言われて、思わずスマホを手に取った。

テロ組織の幹部・ザイール(Erkhembayar Ganbold)が遺した謎の言葉「VIVANT」。野崎は、バルカ共和国の人々が日本語の「BE」を「VI」と発音することから、「VIVANT」=「BEPPAN(別班)」ではないかと推理する。

一般人には聞き慣れない単語だが、野崎曰く自衛隊の影の諜報部隊を「別班」と呼ぶらしい。政府非公認。民間人にまぎれ、国内外で諜報活動に従事しており、彼らの暗躍によって日本は国際テロを未然に防いでいると言う。なんとも非現実的というか、陰謀論じみたものを感じるが、外事課の野崎からすればそのお気楽さこそが「平和ボケ」なのだろう。もしかしたらこのドラマはハリウッド映画のようなスパイアクションに本気で挑戦しようとしているのかもしれない。

実際、第2話もスリリングな逃亡劇がノンストップで展開された。大使館の極秘トンネルを使って脱出を図る野崎たち。しかし、出口にはチンギス(Barslkhagva Batbold)ら地元警察が待ち構えていた。この計画を漏らしたのは誰か。通訳のナジャムが怪しいと思いきや、それはフェイク。裏切ったのは、日本大使の西岡英子(檀れい)だった。

外務大臣・ワニズ(河内大和)との会談シーンの檀れいの芝居があまりにも大袈裟で、「檀れいってこんなクサい芝居をする人だったっけ……?」と思っていたら、それもすべて伏線だったのか……! もう画面に映る人、誰も信じられないドラマになってきた。

唯一信じられるのはドラム(富栄ドラム)くらい。ドラム、あまりにもシゴデキすぎるので、そろそろ周りの優秀な人のことを「ドラム」って呼ぶのが流行りそう。

信じられないと言えば、そもそもの発端となった1億円の誤送金事件も、テロ組織に金を流すために意図的に仕組まれたものだと野崎は言う。乃木憂助(堺雅人)の勤める丸菱商事の中に、テロ組織に洗脳された「モニター」が潜んでいるというのが、野崎の見立てだ。野崎は事件の真相を暴くべく日本への帰国を決める。

しかし、周辺国の国境はすでに地元警察の警備網が張られている。唯一の突破口は、「死の砂漠」と称される広大なアド砂漠を越えること。乃木らは命を懸けて横断を図るが、その道中で柚木薫(二階堂ふみ)の行方がわからなくなってしまい……というところまでが第2話のストーリー。

ラクダに乗って砂漠を渡る姿は、まるでネイチャードキュメンタリーのよう。一面の砂漠をとらえた空撮シーンはダイナミックな迫力があり、沈みゆく太陽をバックにラクダが横切る光景は詩情すら感じる。これを民放のドラマで味わえるなんて、つくづく贅沢な映像体験だ。流れるモーツァルトの『レクイエム』は、忍び寄る死神の足音。こうした演出の壮大さが、国際テロ組織との対決という非日常的なシナリオに説得力をもたらしている。

乃木の過去に一体何があったのか?



一方、そんな重厚さを備えながら、どこか軽妙な雰囲気を醸し出しているのが本作の特徴。おかげで、息つく間はないものの、あまり堅苦しくなくエンタメとして楽しめる。その立役者となっているのは、間違いなく阿部寛だろう。社会派から時代劇まで守備範囲の広いプレイヤーであり、どんな役でもどこか愛され感があるのが阿部寛という俳優の個性だ。

この第2話でも、堺雅人に壁ドンをしたかと思えば、イスラム系の衣装も違和感なく着こなし、ローマ人にもアラブ人にもなれる阿部ちゃんにもはや国境はない模様。地元警察の執拗な追跡も抜群の先読み力で回避するなど刑事としても有能そのもの。頼もしくもあり愛らしくもある野崎守というキャラクターに豪放磊落な男気を添えている。

ヘタレな乃木と型破りな野崎というコンビネーションも魅力的で、2人の共同戦線は今後の見もの。時に意見を戦わせながらも絆を深めていく男たちの活劇としても楽しませてくれそうだ。

だが、そう簡単にはいかせてくれなさそうな不穏な気配もすでに漂っている。「別班」が実在するとして、誰が諜報員なのかと言えば、最も怪しいのは他ならぬ乃木自身だからだ。

乃木が幼い頃、両親と共に国際的な事件に巻き込まれたのはほぼ確定。母親(高梨臨)は目の前で撃たれ、父親(林遣都)も死亡となっているようだが、現時点で安否は定かではない。そして、乃木自身は同世代の子どもたちが幽閉された牢獄のような場所に連行されていた。あの場所は何なのか。彼は幼少期にどのような経験をしたのか。少なくとも、疑わしいところがまったくない人間ではない。

にもかかわらず、乃木の経歴に怪しいところはひとつもなかったと言う。両親があんな死に方をし、乃木自身も過酷な体験をしているにもかかわらず、怪しいところがひとつもないというのは逆に怪しい。つまり、乃木自身が経歴を詐称しているか、あるいは乃木憂助という人間自体がつくられた架空の人物と見ていいだろう、あの偽造パスポートのように。

そうなると、民間人のふりをして諜報活動を行っているのは、まさしく乃木としか思えない。CIAに友人がいるのもそれなら理解できるし、1kgまでなら手で正確に量れるという彼の特殊スキルも諜報活動の中で身につけたと思えば納得だ。

ただ、人間の善悪を直感的に見抜くことができるジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)には、乃木は信頼できる人として映ったようだ。ならば、乃木は善人なのか。確かに気が弱いけど誠実な乃木を見ていると、とても闇のスパイには見えない。

だが、乃木にはもうひとりの人格がある。いつもひとりきりになると対話をしている、もうひとりの自分。あの乃木は気性が荒く口も悪い。てっきり乃木の心象風景かと思っていたら、第2話でナジャムに向けて声を荒げる場面があった。もうひとりの乃木は意図せず表出することがあるということか。つまり、乃木は二重人格者なのかもしれない。となると、もうひとりの乃木が「別班」に関わっている可能性は十分にある。

「敵か味方か、味方か敵か。」が本作のキャッチコピー。だが、最も敵か味方かわからないのは、主人公である乃木憂助だった。

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