高橋海人“若林”&戸塚純貴​​“春日”が魅せたオードリーの軌跡…『M-1』ズレ漫才完全再現に心震える『だが、情熱はある』

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『だが、情熱はある』(日本テレビ系、毎週日曜22:30~)第9話が終わり、King & Prince​​が歌うエンディング曲「なにもの」が流れたとき、胸が熱くなっているのを自覚した。そうか。1時間あっという間に駆け抜けたから気づかなかったけど、夢中になっていたんだ。

これまでの話すべてに思っていたことだが、あえて言わせていただきたい。これを「神回」と呼ばずして何と呼べばいいのだ。

執念で勝ち取った敗者復活の切符



2006年、オードリーのズレ漫才のフォーマットを見つけ、春日俊彰(戸塚純貴​​)に説明する若林正恭(King & Prince・高橋海人)。若林が普通のことを言う、春日はズレたツッコミをする、それに対して若林がさらにツッコミを入れる。

「いけるぞ俺ら。売れるぞ!」

若林はそうやって目を輝かせるが、春日はまったく理解できなかった。それでいい。ポンコツなのが彼の個性なのだ。

当初は『M-1グランプリ』で結果が出ず、悔しい思いをした。これで売れると思ったのにどうして……。若林は再び絶望のどん底に陥る。しかし突然、その日はやって来た。​​新人コント大会のオーディションにて、主催者の渡辺正行(本人役)から「いいね。面白いよ。これは『M-1』を狙える漫才だね」と褒められたのだ。

初めて漫才を認めてもらえたのもあって、若林はうまく飲み込めない……。会場を出て、ひとりになったとき、嬉しくて、嬉しくて泣いた。顔をくしゃくしゃにして泣いた。きっと若林はこの夜のことを忘れないだろう。私たち視聴者だって忘れない。あなたと一緒に泣いたのだから――。

2008年、競馬場で行われた『M-1』敗者復活戦。準決勝敗退者たちは、1枚しかない決勝の切符を争う。そこでオードリーは、これまで練り上げてきたズレ漫才を披露。このネタで敗者復活を勝ち上がり、決勝でも2位となった。

高橋と戸塚がやった漫才は、本物のオードリーが15年前に披露したネタと同じものである。テンポ、間、目線、表情、立ち振る舞い……「再現度が高い!」と一言で片付けるのが、はばかられるほど、完璧な“オードリーの漫才”を見せたふたり。そこに本物がいるかのような気迫、人々を感動させるパフォーマンスをやってのけたのだ。

高橋と戸塚は「これまでやってきたことを4分の漫才にぶつける」という『M-1』戦士独特の空気をまとっていたし、この漫才をするために、どれだけの準備と試行錯誤を繰り返してきたのか。そんな彼らの熱い気持ちが伝わって、目が離せなかった。いや、これまでこのドラマを追いかけてきた者として「見なければならない」瞬間だった。

なにより漫才の台本自体も面白くて大笑いした。高橋と戸塚を通じて、当時の若林と春日が積み重ねてきた軌跡を感じることができたのだ。

ブレイクしたけど…もがき苦しむ山里



売れっ子芸人になった南海キャンディーズ。しかし、しずちゃん(山崎静代/富田望生)ばかりフィーチャーされて、山里亮太(SixTONES・森本慎太郎)​​は蚊帳の外。山里の嫉妬もあって、ふたりのあいだには、不協和音が鳴り響く。

映画『フラガール』が公開されて大ヒットし、しずちゃんは俳優としても高く評価された。いつしか山里は「しずちゃんには絶対に負けない」と、相方を敵対視​​してしまう。

映画のエンドロールにコンビ名を発見した丸山花鈴(NMB48・渋谷凪咲)が、ふとこぼした「“南海キャンディーズの山崎静代”として出てるんやなって」という言葉も、彼には響かなかった。

2006年、南キャンは『M-1』を欠場するが、2008年には出場して準決勝に進出。敗者復活戦へ。前出のとおり、オードリーが決勝に上がったため、彼らは負けてしまったが、山里は悔しさのあまり、しずちゃんに「来年ストレートで決勝に行くよ」と声をかける。事実、2009年はストレートで決勝に上がるのだからスゴい。

『M-1』から数か月後、若林と山里は出会うことになる……。

『だが、情熱はある』は至高のエンタメドラマ



本作が全12話であることが公式発表された。

残り3話。最後まで全力で駆け抜けてほしい反面、もう終わってしまうのかと寂しさも押し寄せてくる。高橋が演じる若林に、森本が演じる山里に、戸塚が演じる春日に、富田が演じるしずちゃんに、ドラマの中のオードリーに、南キャンに、もう会えなくなる。

若林と山里の半生を中心に物語が展開されている『だが、情熱はある』。放送前、ふたりを追いかけてきた者としては、どんな歴史が描かれるのか、ずっと、ずっと楽しみにしていた。

そして現在。相変わらず若林のことも山里のことも大好きだけど、高橋のことも森本のことも大好きになった。戸塚も、富田のことも大好きになった。そんな人も多いのではないか。以前から好きだった人も、作品を通して、きっと彼ら彼女らのことをもっと好きになったに違いない。

SNSを見ても、推しの活躍に対して喜ぶ人、若林・山里ファンからの絶賛の声、高橋や森本の魅力に気づいて、彼らを“見つけた”人たち……。多幸感に溢れている。

突き抜けたエンターテインメントって、こんなにも人を幸せにするのか。

次回は6月11日に放送。オードリーが大ブレイク。しかし、仕事が増えてもまったく楽しくない若林。そんなある日、島貴子​​(薬師丸ひろ子)から呼ばれて居酒屋へ。そこに山里もいて……。「たりないふたり」が産声を上げる――。

文・浜瀬将樹

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