『美しい彼』萩原利久“平良”と八木勇征“清居”がいざなう、極上のエターナルへ

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やっぱり恋はハッピーエンドがいちばん。そう思わず一緒に空を見上げたくなるような晴れやかなフィナレーだった。

ドラマイズム『美しい彼』(シーズン2)が最終話を迎えた。すれ違う平良一成(萩原利久)と清居奏(八木勇征)の想いはどんな結末を迎えたのだろう。

わかり合えなくてもいい。向き合うことさえやめなければ



『美しい彼』の原作は、同名の第1巻からスタートし、『憎らしい彼』『悩ましい彼』の全3作が現在発表されている。中でも、このシーズン2のベースとなっているのは、第2巻の『憎らしい彼』。『美しい彼』とは当然清居のことを指すが、では『憎らしい彼』とは誰のことか。それが、この最終話で明かされる。

「片想いの苦しさは甘美だった」

清居がいなくなった一夜から明け、絵に描いたようにトボトボと歩きながら平良はそんなことを考えていた。だけど、清居は言う。

「申し訳ないけど、片想いには戻してやれない」

自分が怒って出ていっても追いかけてもくれないし電話さえよこしはしない。彼氏として採点するなら、平良はどうしようもなく赤点だろう。見限れるものなら、もうとっくに見限っている。でも、そうはいかないのが恋なのだ。

駆け引きさえ通用しない。カマをかけるだけ、自分のひとり相撲。二言目には、自分は石コロだからと不当に蔑み、「捨てるぞ」と脅しをかけるとなぜか愉悦の笑みを浮かべる。おおよそ自分の論理では理解できない。『憎らしい彼』とは、つまり清居から見た平良のことだった。

平良の視点から清居のことを追いかけていたつもりが、いつの間にか理解不能の平良を追う清居の視点に反転している。そこに、この『美しい彼』シリーズの面白さがある。

憎らしい、という気持ちほど困難なものはない。だったら、いっそ手放してしまえればいいのに、そうはできないから余計に憎らしい。

だって、あんなにも陶酔に満ちた目で自分をほしがってくれる男は他にいない。平良だけが自分の心の中にある空洞を埋めてくれる。平良の張った甘い蜘蛛の巣にすっかり絡め取られてしまっているのだ、清居奏という男は。

それは平良も同じ。清居の考えていることなんてまるでわからない。いや、神をわかろうとすること自体、畏れ多い。二言目には「キモい」と吐き捨て、冷たい目を向ける。でも、そうやって残酷な一瞥を残して踵を返すシルエットまで、途方もなく美しい。鮮やかな蝶の羽が振りまく鱗粉にすっかり魅入られてしまったのだ、平良一成という男は。

しかも、清居は決して冷たい人間ではない。久しぶりに吃音が出た平良の背中を優しくさすってくれる。あの慈愛の眼差しが自分に向けられているなんて、そんなの平良からしたらバグとしか思えない気持ちはわかる気がする。どんなに好きだと言われても「なんで?」と聞き返したくなるし、「なんで?」と聞き返されて「なんで?」と驚く清居がいとおしい。

きっと2人はいつまで経っても根本のところでわかり合えないだろう。またすぐに清居は平良に呆れてしまうかもしれないし、平良は知らずに地雷をぶち抜いてオドオドしているかもしれない。

でも、それでいい。向き合うことさえやめなければ。その目と目に、一生、お互いを映し続ける。それこそが、両想いの特権なのだ。

萩原利久が解き放つ平良の可能性と、八木が見せた恋する清居の目



ファン熱望のシーズン2。こうしたあまりにも期待値の高い作品は、時に失望を生むこともある。けれど、『美しい彼』はそうならなかった。

それはひとえに監督の酒井麻衣と脚本の坪田文が、凪良ゆうの原作を理解し、平良と清居の関係性の尊さを損なうことなくすくい取ってくれたからに他ならない。『美しい彼』シリーズの持つ耽美な官能性をそこはかとなく漂わせながら、よりポップとなったシーズン2に多くのファンが至福のひとときを味わった。

そして、平良と清居を続投した萩原利久と八木勇征なしに、ドラマ『美しい彼』は語れない。

平良と結ばれたことにより、八木はよりヒロイン性を膨らませて清居という人物を体現した。持ち前のクールなビジュアルもあり、“孤高のキング”としての説得力を持たせること自体は、シーズン1時点では演技未経験だった八木にも、ある種、難しいことではなかったように思う。

そこから、シーズン1以降、他作品でも俳優として実績を積み上げてきたことで、八木の表現の幅が広がった。清居というキャラクターにより人間味が増した。この最終話でいえば、クライマックスでチョコレートを渡すシーンなんて、軽く下唇を噛むような仕草から清居のいじらしさと愛らしさが出ていたし、こんなにもキラキラとした目で平良を見つめる清居なんてシーズン1の頃は想像もつかなかった。恋する人の目を、八木勇征はしっかりと自分のものにしていたと思う。

何より、萩原利久の安定した演技が『美しい彼』という作品の質を一段も二段も高めていた。

平良の軸が定まっていなければ、もっと作品全体がチープになりかねなかった。けれど、萩原の演じる平良は、背筋の丸まった歩き方も、俯きがちな視線も、たどたどしい台詞回しも、どれもステレオタイプにおさまらないリアルさがあって、平良一成とはこういう人なのだと伝わる説得力があった。だから、傍目から見たら理解できないような平良の言動も、平良らしいと慈しむことができた。

売れっ子フォトグラファーの野口大海(和田聰宏)から「自分が撮りたい写真が定まるまででいいよ」と言われ、「あります」と力強く答えたときの、厚い前髪に隠された正体不明の輝きなんて、凡百の俳優に出せるものではない。名実ともにこの世代屈指の演技派である萩原利久だからこそ、石コロでもありダイヤの原石でもある平良の可能性を感じさせることができたんだと思う。

清居からもらったチョコレートを宝玉のように高らかにかざす平良の放心したような目も、ヤンチャな王様のように「食え」と命令をくだす清居のちょっと左に上がった口角も、僕たちが思い描く平良と清居そのもので、この2人がいてこそ『美しい彼』という作品が成立したことがよくわかる最終話だった。

この奇跡の続きは劇場版にて。2人の紡ぐエターナルは、僕たちを醒めない夢へと誘い出してくれることだろう。

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