電動アシスト自転車に値上げの波 背景にはアルミの高騰<WBS>

取得元:https://dogatch.jp/news/tx/txplus_110722/detail/

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コロナ禍で人気もアルミの高騰で値上がりしている電動アシスト自転車。

新型コロナの感染が再び拡大する中、混雑などを避けて移動できる手段として人気が続いているのが電動アシスト自転車です。ただ、各社とも、今、相次いで値上げを強いられています。その背景には何があるのでしょうか?

東京・渋谷区にある電動アシスト自転車の専門店「代官山モトベロ」。コロナ禍で密を避ける移動手段としてニーズが高まり、売り上げはコロナ前と比べて1.5倍以上に伸びました。

今、人気の商品はヤマハの「パス ミナ」で、通勤通学、仕様によっては子どもを乗せてマルチに使える自転車です。価格は14万7400円ですが、実は1月から8800円値上げしています。値上げの理由は、自転車に使われているアルミなどの原材料価格の高騰です。ヤマハだけでなく、ブリヂストンの自転車「ビッケ ポーラー e」も昨年10月から4800円ほど値上げとなっています。

「2022年は電動アシスト自転車にとっては値上げの年。(価格上昇は)好ましい状況かといえば、なかなかそうではない。(客からは)いいものだったら、ある程度コストをかけてもしょうがないよねっていう話になっている」(代官山モトベロの村上耕大店長)

アルミニウムの国際的な価格はどうなっているのでしょうか?

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アルミニウムの価格のグラフ。

代表的な指標となるロンドン金属取引所では、1トン3000ドル台と、1年前より約50%高い、歴史的な高値水準となっています。その背景にあるのが中国です。住友商事・軽金属事業部の宮地泰史チームリーダーは「全世界のアルミ供給の約6割を占める中国で供給面において構造変化が起きている」と話します。

製造工程で大量の電力を使うアルミですが、中国は国内の電力不足を受けて生産を抑制しています。一方で、アメリカなどではコロナからの経済回復を受けて、需要が増加。そこに世界的な脱プラスチックの動きでアルミの需要がさらに増し、供給が追いつかない状況が続くといいます。

「脱炭素への取り組みなど恒常的な供給面の問題を抱えている。日本でもアルミ製品価格は今後も上がっていくのでは」(宮地チームリーダー)

値上げの波は身近なところにもきています。

都内のカー用品店「A PIT オートバックス 東雲」にずらりと並んでいるのはタイヤを取り付けるアルミホイール。通常のタイヤから冬用のスタッドレスタイヤに交換するときにセットで購入されることが多いといいますが、世界的なアルミ不足の影響で、アルミホイールは各メーカーが今年に入り、軒並み値上げ。こちらの店舗でも今月、一部の商品で約1割値上げしました。通常、製造から納品までに数ヵ月かかるため、夏用のタイヤに変える4月頃に品不足や価格への影響が出る可能性があるということです。

さらに、アルミ高騰の影響が広がっているのが住宅の建築材料です。「YKK AP」では、1月の受注分から窓枠などアルミを使った住宅用商品などを8〜15%順次値上げします。

同社の山地慎一郎副社長は値上げを決断した背景について「原材料高の影響が1年間の利益に匹敵するぐらいのインパクト。このままいくと会社の事業自体が成り立たなくなる。本当にユーザーの方々には、申し訳ないがやむなしの決断」と説明します。一般的に100平方メートルの家で、窓だけでも約20枚を使用するため、今後、住宅の購入やリフォームをする消費者には負担増になりそうです。

そこでYKK APが力を入れるのが、アルミの窓に比べて断熱効果が高く、省エネにもつながる樹脂製の窓です。現在でもアルミ製に比べ約4割高ですが、普及するチャンスと捉えています。

「この値段でも施主に選ばれる商品を作り続けるのが、会社としての一番の姿勢です」(山地副社長)

※ワールドビジネスサテライト
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