脚本家で観る韓国ドラマ第1弾!~ロマンチックラブストーリー編~

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韓国ドラマは脚本が素晴らしい。ドラマが大好きでドラマ作りに命を懸けている韓国では、たとえ人気俳優が出ていようとも、脚本がよくないと簡単にそっぽを向かれてしまう。なので、人気脚本家は俳優のキャスティングよりも重要視されがちだし、そもそも良い脚本じゃないと良い俳優をキャスティングすることも難しいのである。そこで今回、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で配信されている作品の中から、注目の脚本家にスポットを当てて紹介していく。

第1弾のテーマは"ロマンチックラブストーリー"。そして、「ラブストーリーといえばこの人!」というのが、キム・ウンスク、2000年代のヒットメーカーとして大ヒットを飛ばし続けてきた脚本家だ。

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2004年の『パリの恋人』は、恋に不慣れな御曹司と生活力のあるたくましい貧乏娘が織りなす究極のシンデレラストーリーで、彼女のキャリアの初期のころの作品だが、韓国で最高視聴率57・4%をたたき出した。

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また『相続者たち』(2013年)は、御曹司たちが集まる高校に貧乏なヒロインが入学するという設定は『花より男子』に似ているものの、この作品では、様々な業界のトップに立つ親を持つ"相続者たち"の側にも立って、「"王冠"を親から引き継ぐためにはそれなりの犠牲を覚悟しなくてはならない」という、相続者もそれぞれ辛いのだという青春を描いているのが新しい視点だった。18歳の主人公たちが大人になるということの厳しさを感じながらも前進していこうとする姿に清々しさを感じるドラマになっていた。

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こんな感じでキム・ウンスクは、定番の設定を、おもしろく、センスよく見せるのがうまい。毎回、主人公にエッジのきいた言い回しの会話をさせたり、印象的な性格付けをすることで、どこかコミカルさをかもし出すキャラクターたちのやり取りの妙が生まれ、何気ないところでもキュンキュン来るように作り上げてしまうのだ。
『パリの恋人』に出てくる「ベイビー、行こう!」とか「この中に君がいる」などの決めセリフはいまだにパロディーのように出てくるくらい定番になっている。

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そんな彼女の集大成とも言われたのが『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』。高麗時代から生き続けている不死身の"鬼"と"鬼の花嫁"である女子高生、死神らが繰り広げるファンタジック・ラブストーリー。

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メインとなるのは、ヒロインと鬼のラブストーリーだが、一方で、前世を忘れられない鬼と、前世を思い出せない死神が、なんだかんだ言いながら飄々と暮らしていくうちに奇妙な友情が芽生えていくという、男2人が醸し出すケミストリーがドラマの白眉だった。そうした男同士の関係を楽しむ"ブロマンス"やファンタジーという、今どきの要素を入れつつも、生と死の意味、輪廻転生、欲望の恐ろしさ、神の存在、といった哲学的世界観を入れ込んで新境地を見せ、韓国でも一大ブームを巻き起こした。

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キム・ウンスクと並んで大ヒットを飛ばしているのがパク・ジウンだ。最新作としては、今、日本を始め、世界的にヒットとなっている『愛の不時着』を手がけているが、彼女の作品は、『星から来たあなた』や『青い海の伝説』に代表されるように、宇宙人と国民的女優のカップルや、人魚と詐欺師というように、もはや人外の存在と人間とのラブストーリーという奇想天外な設定ながら、それを荒唐無稽と思わせることもなく、視聴者をすっとドラマの世界に引きこんでしまう筆力がすごい。それに、主人公カップルに横たわる昔からの因縁、運命性が過去とフィードバックさせながら絶妙なタイミングで出て来たり、何気なく撒かれた伏線回収も上手いのだ。

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キム・ウンスク作品では男性キャラクターが完璧な条件を持つことが多く、男性主導で貧しい頑張り屋のヒロインが引き上げられていく感じとすれば、パク・ジウン作品では男性も素敵だが、ヒロインがとっても輝いて見える。堂々としていて自信たっぷり、ふっと見せる弱さに共感できて,チャーミング。そんな主導的なヒロインに振り回されたり、守ってあげたりすることで、男性主人公の魅力が輝く感じの見せ方だ。

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『青い海の伝説』のチョン・ジヒョンは陸に上がった人魚役。まるで野生児のように天真爛漫。人間社会の掟やルールが何もわからないので、イ・ミンホ演じる詐欺師の青年が成り行きで保護者になって、調教師のようにいろいろ教えてあげるのだが、この2人のやり取りが、時に大爆笑、時に微笑ましくて、イ・ミンホのかわいい一面も垣間見られる。こうした2人が描き出すキュンキュンシーンを楽しむと同時に、愛する相手から愛されなければ陸に上がった人魚の心臓は固まってしまうという枷に加えて、過去の因縁を彷彿させる「財閥一家のお家騒動」も描かれてストーリーを引っ張っていく。

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とまあとにかく、笑えるのに哀しくて爆笑と泣きが交互に訪れる主人公ふたりのやりとりを見ているだけで幸せな気持ちになるというのが、最近のパク・ジウン脚本のテイストになっていて見るものを虜にしているのだ。

(文:韓流ナビゲーター・田代親世)

『パリの恋人』(C)SBS
『相続者たち』(C)SBS
『トッケビ』(C)STUDIO DRAGON CORPORATION
『青い海の伝説』 (C)STUDIO DRAGON CORPORATION

関連リンク
パラビ『パリの恋人』視聴ページ

パラビ『相続者たち』視聴ページ

パラビ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』視聴ページ

パラビ『青い海の伝説』視聴ページ

『Paraviで韓流・華流を楽しむ!』特集ページ

 

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