例えばカレーに入れる肉。東京で聞くとだいたい豚肉を入れると答える。もちろん牛肉を使うこともあるが、「ビーフカレー」と呼んでちょっと贅沢なカレーのポジションだ。何の説明もなく作ったカレーは豚肉入りとほぼ決まっている。
ところが大阪でカレーに入れる肉はと聞くと「牛肉やろ」「豚は入れへんで」「豚肉のカレーなんて食べたことないわ」と当たり前のように答える。
そもそも大阪人からすると「肉=牛肉」なのだそうだ。豚肉の場合は「豚肉」と表記しないと怒られるという。だから東京で言う「肉まん」は大阪では「豚まん」と呼ぶ。豚挽き肉を使うのだから「肉まん」ではないのだ。へー!そうなのか!
そして今度は「味噌汁の位置」問題。これは東京と大阪で真っ向から対立し、互いに譲らない大問題だ。
東京で味噌汁をお膳に置くと、ご飯が左、その右横に誰もが配置する。一汁一菜と言われるが、ご飯の横に一汁つまり味噌汁を置き、奥に一菜つまりおかずを置くのが作法なのだ。
ところが大阪では味噌汁は左側、ご飯の奥に配置する。メインのおかずが右手前で、東京の味噌汁のポジションだ。おかずが手前にあったほうが食べやすい、というのが大阪人の言い分。大阪人に東京タイプの配膳でご飯を出すと、無意識に味噌汁の位置を変えてしまう。
この問題は、浮上するたびに激しい論争を巻き起こすのだが決着することはない。味噌汁の場所は東京人はどうしてもご飯の右側、大阪人は左の奥、絶対に意見が一致することはない。
最後にスコップとシャベル。同じ土を掘る道具だが、東京では大きいのがスコップ、小さいのはシャベルと呼ぶ。ところが大阪人に同じものを示して名前を言ってもらうと、小さいのがスコップで大きい方はシャベルと言うではないか!東西で真逆の呼び方をするってなんて不思議な!
大阪人は「シャベルで工事をする」と言う。東京人からするとあんな小さな道具で工事なんかできない!となる。
さらに大阪人は「幼稚園でスコップでチューリップを植えた」と言うのだが東京人の感覚では小さな子どもが大きなスコップ使えるの?と言いたくなる。
肉は牛か豚か?味噌汁のポジションは?どっちがスコップでどっちがシャベル?東京と大阪でこんなに違うとは、不思議で面白い。ちなみに筆者は九州出身で大阪に近い。味噌汁はご飯の奥だし幼稚園ではスコップだった。地域によって東京派と大阪派に分かれそうだ。あなたはどっち?東京と大阪、どっちの味方につきますか?
【文:境 治】
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