やっぱり年下男子が好き(3)『G線上―』加瀬理人:中川大志

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動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で観られる最強年下男子特集。第3弾は、『G線上のあなたと私』(TBS系)の加瀬理人(中川大志)だ。憎まれ口を叩き合う仲から、いつしか恋の相手に。理人くんがくれたときめきを振り返る。

理人くんのとろんとした"泣き顔"に、日本中が恋をした

年齢も違う。環境も立場もバラバラ。そんな3人が、大人のバイオリン教室で出会い、絆を深め合う姿を描いた『G線上のあなたと私』。アラサー女子の小暮也映子(波瑠)、イマドキ大学生の加瀬理人(中川大志)、主婦の北河幸恵(松下由樹)の年齢や性別をこえた友情が多くの人を優しい気持ちにさせたのと同時に、8歳差の也映子と理人の恋の行方に毎回ドギマギさせられた。

たとえるなら理人くんは、口うるさくって、よく吠えて、でもわかりやすいくらい感情が顔に出て、うれしいときや好きな人にはいそいそ尻尾を振る"コーギー"系年下男子。

そのビジュアル面の魅力は、何と言ってもあの"泣き顔"。目鼻立ちの整った中川大志は、眉も男らしい鋭角型。その均整のとれたマスクは、実年齢よりずっと大人びて見える。それが理人くんを演じるときは、少しタレ目がちの目がいつもよりさらにとろんと垂れ下がって、今にも泣き出しそうな表情に。この"泣き顔"が理人くんのチャームポイントとなっていた。

特に第3話の、初めて体験レッスンに行った日を振り返る回想シーンで見せたあの"泣き顔"は思わず髪をぐしゃぐしゃと撫で回したくなるくらいにいたいけで。ビルの前で中に入ろうか迷っているときの胸をかきむしるような表情も、大好きな久住眞於(桜井ユキ)と目が合った瞬間の瞳孔が開いたような惚けた目も、眞於がビジネスライクに笑顔でかわしたあとの雨に濡れたような顔も、どれもこれもが愛らしすぎて。こんなの見せられたら、今すぐ毛布をかけて家まで連れ込んで、あったかいミルクでも出してあげたくなってしまう。

人は、好きという気持ちが高ぶりすぎると涙が出る。初めての恋に溺れそうになりながら、なんとか眞於に好きになってもらおうと一生懸命になる理人くんの可愛らしさを、中川大志はあの"泣き顔"で見事に体現していた。

そしてもうひとつビジュアル面で強力な武器となっているのが、バイオリン。これはもはや三平方の定理に並ぶ黄金の法則として教科書に載せていただきたいのだけど、イケメンは楽器を持つとますますイケメンになる。しかも定番のギターやドラムではなく、バイオリンというところが、中川大志の持っている品の良さにぴったり。バイオリンのボディを顎で支え、すっと弓を滑らせる。その集中した顔つき。伏し目からにじみ出る知性。たまに見せるアイコンタクト。このビジュアルの強さは完全に少女漫画の世界。普段は口の悪い理人に、王子感が武装されて、こんな男の子が通っている音楽教室があるなら、月謝は2倍払ってもいい。

まるで女心のわからないと理人くんが、たまらなくいとおしい

キャラクター面でも、他の年下男子とはまた違う魅力が光っている。理人くんは基本的に口が悪いし、すぐ怒るし、理屈っぽい。だから最初は恋の相手というよりも、生意気な弟や、何でも言い合える男友達といった方がしっくり来る。

一見すると冷めた性格に見える理人くんだけど、実際のところ機嫌はめちゃくちゃわかりやすい。お手製練習マニュアルのあまりの細かさに也映子と幸恵から「理系だよね」と茶化されて「今それ関係ありますか」とすまし顔で切り返すツンツンとしたところもあれば、発表会で失敗したことを「手がまだ治ってないから」と強情に言い訳をするような子どもっぽさもあって、その幼さに普段の憎まれ口もなぜか許せてしまう。

そんな理人くんの年下男子らしい魅力といえば、"女心のわからなさ"だ。基本的に理人くんは優しいし、しかるべきときにしかるべきことを言える頭の良さも持っている。だけど、女心に関してはからっきしダメ。

眞於の言葉を真に受けて、兄(鈴木伸之)に子どもが生まれたことをメールしてしまうところとか。婚活中の也映子について「結婚したい人同士なんだから、マッチングしたら大体そのまま結婚でしょ」と言って幸恵にドン引きされるところとか。熱が出た也映子の家に無断で押しかけてくるところとか。その上、すっぴんで髪もグチャグチャであることを気にする也映子に「ごめん。でも、そんなに変わらないっていうか」と答えてしまうところとか。

人への思いやりは溢れているのに、なぜか女心にだけは配慮がまったく働かない。でも、そんなところに恋愛経験の乏しさが透けて見えて、これだから年下男子はやめられない。こっちは一生懸命オシャレしているのに、理人くんはデートでも普段と変わらない恰好で。自分ばっかりが意識して空回りしているみたいで、どんどん苦しくなる。

でも実は「うぃす」という挨拶に、理人くんなりの緊張もちゃんと見えるのが、中川大志の芝居のうまさ。男のガサツさと、男の子のナイーブさの両方を、中川大志が共存させてくれたから、こんなにも理人くんがいとおしく思えるのだ。

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ツンデレ男子の破壊力を味わうべし!理人くん名場面3選

そんな理人くんの個人的な名場面を3つ挙げると、まず1つめは第3話の居酒屋シーン。ついこの間まで未成年だった男の子と初めて一緒にお酒を飲むというシチュエーションだけで軽くワイン3本あけられる至福感があるけれど、この場面の理人くんの破壊力は政令指定都市がひとつ焼けるレベル。アルコールの力もあって、いつもよりテンションは高め。よく喋り、よく笑い、ちょっと甘える理人くん。顔を真っ赤にしながらあのとろんとした目で也映子を見るカットは、このままスクショしてZoomの背景にさせてほしい。

そのあとに続く商店街での"シャッタードン"まで含めて、今まで恋愛の対象外だった年下男子が、一気に先頭に躍り出る衝撃。あんなに情けないのにキュンとくる「そこにいて」を、僕は他に知らない。ふたりみたいに無防備なぐらい酔いつぶれて、バカみたいに泣きたい夜が大人にはあって、それができる也映子と理人くんの関係がとても羨ましく思える。

2つめは、第6話のラスト。誕生日を迎えた也映子へバイオリンに塗る松脂をプレゼントするシーンだ。ぶっきらぼうに松脂が入った袋を差し出す仕草からして100点の出来だけど、何よりうれしいのがちゃんと也映子の松脂がもうなくなりかけていたことに気づいていたこと。自分を見てくれる人なんて誰もいないと沈んでいた也映子に、このセレクトはツボすぎた。なんの計算も衒いもなく、こんなうれしいことをしてくれるところが、理人くんの魅力なのだ。

そして3つめは第8話。無事にコンサートを終えた3人が打ち上げをするシーン。3人の息の合った掛け合いも多幸感に満ちあふれていてずっと見ていられるのだけど、ここで挙げたいのは幸恵が席を外したあとの、也映子と理人くんがふたりきりになるくだり。お互い自分の中にある恋愛感情に気づきながら、うまく本音を切り出せなくて。「好き」というたった2文字を口にするのがこんなにも難しいものなんだとヤキモキしつつ、でもそれが恋なんだよなとなんだか照れ臭い気持ちがこみ上げてくる。

想い合っているのにうまく相手に踏み込めないこのじれったさこそが、『G線上のあなたと私』の真骨頂。也映子の立場になって理人くんにドキドキするもよし、幸恵さんになり代わって、ふたりのもどしかしい恋模様にキャーキャー言うもよし。いろんな視点から、理人くんというツンデレ年下男子の破壊力を楽しんでほしい。

(文・横川良明/イラスト・月野くみ)

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パラビ『G線上のあなたと私』視聴ページ

パラビ『G線上のあなたと私 ディレクターズカット版』視聴ページ

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