18歳でA代表デビューを飾った小野は、日本が初出場した1998年のフランス大会を皮切りに、3度のW杯を経験。そのフランス大会では全ての試合でわずか1点差に泣いた日本だったが、24年後の2022年に開催されたカタール大会では強豪のドイツやスペインを撃破するなど、大きな躍進を遂げている。
なぜ日本代表はここまで強くなれたのか。日本が覚醒した要因について、小野は「今は各国でレギュラーを張っている選手がたくさんいるので、そういうところが日本の強さになっている」と、実力を兼ね備えた海外組の増加を挙げながら、「僕自身もそうだったんですけど、常に外国人の選手と一緒に練習しているんで、いざ戦うってときに何の違和感もないというか、それはすごく感じました」と振り返った。
各国のクラブで活躍する選手が過半数を占め、各ポジションで良い意味での競争が生まれている現在の日本代表。中でもポジション争いが熾烈を極めるウイングは、森保ジャパン最大の武器でもある。両翼の一端を担う三笘薫について聞かれた小野は、「Jリーグにいるときからずば抜けているなっていうのはありました。ドリブル感覚もそうですし、海外に行ってあれぐらい活躍するだろうっていうのはすごく思っていました。試合に出てくるとリズムを変えられる選手だなっていうのは感じますね」と褒め称えた。
一方、久保建英や堂安律については、4年前の放送で「パスが出せるタイミングがあるのに出さないで、そのまま持っていって潰されるっていう場面が多い」と、“球離れ”の遅さを指摘。そうしたプレーは本人たちの自信から来るものであるとしながら、「今は周りをうまく使いながら、自分がどこで活きるのかっていうのができている。自分が本当に一番活きる場所っていうのを、すごくわかってるんじゃないかなというふうに感じます」と評価した。
そうした世界トップクラスのクラブで武器を磨く海外組に、新戦力の国内組を加えて臨んだ先ごろのアジアカップ。日本は2011年以来、3大会ぶりの王座奪還を目指したものの、準々決勝で敗退してしまう。試合を見守った小野は「相手が日本をちゃんと研究していて、日本の良さが全部消されたゲームになってしまった」と敗因を分析。優勝候補と目されていた日本だったが、アジアの国々に徹底的に研究され、本来の強みを活かしきれなかったという。
チャレンジャーとして挑んだW杯とは異なり、日本をリサーチし尽くした相手がゴール前を固めてくるのがアジアとの戦い。小野は「心の中でどこかアジアが下のレベルだという感覚になってしまったら、勝つのは難しいんじゃないかなと思います」と、強くなったからこその落とし穴があったのではと推察し、同時に「自信を持っていかなきゃいけないと思いますし、自分たちはアジアの一番だっていうことを意識してやっていかなきゃいけないと思います」と、アジアの中では強者であるというメンタリティを大切にすべきだと説いた。
アジアカップの優勝は逃したものの、選手層が厚く、歴代最強との呼び声も高い森保ジャパン。その中でも、天才と称された小野が自分以上の逸材だと評価する選手がいる。それは、ドリブル突破と決定力の高さを武器に去年から代表に定着した中村敬斗だった。所属するスタッド・ランスでも主力として活躍する23歳の若武者に対して、小野は「やっぱり面白いですよ。ゴールを取れる、ドリブルができるっていう部分では、自分にはないものを持っている選手なんだなっていう感じがします」と絶賛。
さらに、勝村から「あの巻いたシュートとかも確率が上がっていくと……」と話を振られると、「点で合わせるのも上手ですし、自分でドリブルからああいうシュートに持っていくのもすごくうまいんで、さらに上に行くと思います」と期待を寄せた。
そんな新しい時代を作るであろう若い世代の育成に注力したいという小野は、「サッカーを通じて、いろんな分野で自分が今までお世話になってきたことを恩返しする気持ちで動いていきたいなというふうに思っています」と、引退後の展望についても口を開く。その思いの原点には中学生の頃に参加したセルジオ越後による「さわやかサッカー教室」があった。
三浦知良、中山雅史、岡野雅行、中田英寿といった数多くの日本代表を輩出したサッカー協会公認のサッカー教室は、小野にも大きな影響を与えている。小野は「一緒にやったときに、こんなうまい人いるんだなって。すごい刺激を得て、今でも忘れられない瞬間だったので、こういうことをちびっ子たちに伝えていければ」と意欲を燃やし、「日本のサッカーが、Jリーグが盛り上がるようにいろいろと協力し合いながらやっていければいいなと思います」と締めくくった。
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