天才・小野伸二が選ぶ唯一無二のファンタジスタとは?才能ある選手の育て方にも言及!

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3月9日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、昨シーズン限りで現役を引退した元日本代表の小野伸二がゲスト出演。小野のサッカー人生を紐解きながら、その思考法やテクニックに迫った。

都内のフットサル場で小野を出迎えたMCの勝村政信は、まずサッカーの原体験について質問。サッカー王国の静岡県出身ながら、他の地域に比べて“サッカー不毛地帯”と呼ばれる東部地域の沼津市で生まれ育った小野は「本当にいろんなスポーツをやりながら、でも、やっぱりサッカーに行き着いたっていう感じでしたね。野球とかもやってたんですけどね。サッカーボールと触れ合ってる自分というのがすごい楽しかった」と振り返った。

小野は少年時代の練習メニューについて、「リフティングは必ずやってましたね。僕、団地住まいだったので、これぐらいのスペースで」と、幅2mほどの狭いスペースでリフティングを行っていたと説明。リフティングの上達方法については、「僕、いつもうまくいかない子には、まずどうやったらまっすぐ飛んで、どれぐらい蹴ったらいいかって伝えるんですよ。そうすると安定感が生まれてくる。で、1回を2回に、2回を3回にっていう感じで増やしていく」と解説した。リフティングは、ボールの弾み方や性質を知った上で、回数を増やしていくことが上達への近道だという。

そのリフティング技術が基礎となって培われたのが、小野の代名詞となるトラップだった。フットサル場では、実際に“神業トラップ”を見せてもらうことに。約30mの距離から放たれた浮き球をビタ止めする小野に、勝村も「どういうことですか!?」と驚きながら、「やっぱり球を理解してるんでしょうね。回転も含めて、速さも含めて、支配に入ってるっていうか」と感心。これに小野は「どんなボールが来ても、大切なのは次のプレーに何が大事かということ。次をプレーするための準備として、心がけてやっているので」と、トラップの際に意識していることを明かした。

また、リフティング同様、団地のコンクリートブロックの物置を相手に繰り返し行っていた壁打ちは、ブロックの1段目に当てたら、次は2段目といった具合に、ゲーム感覚で行うことが大切だという。遊びの延長でボールを蹴ると夢中になり、上達も早くなるという小野の考え方に、勝村は「ズラタン(イブラヒモヴィッチ)とかもロナウドのフェイントを真似て、ずっと道でやっていて、いつの間にか覚えたそうですよね」と、世界的なレジェンドの名前を挙げて共鳴。小野も「僕らもキャプテン翼のドライブシュートをやろうとか、いろいろ考えたりしながらやっていましたよね」と声を弾ませた。

そして、このリフティングと壁打ちによって生まれたのが、小野のもう一つの代名詞である“ベルベットパス”だった。パスを受けた選手が織物のような滑らかさを覚えることから、オランダでその名が広まったベルベットパスは、相手がもらってうれしいパスを出すように意識した結果、生まれたものだという。

高校時代から攻撃に特化したプレースタイルを確立させていた小野は、このベルベットパスとトラップを武器に世界で活躍。類まれなプレーで多くのサッカーファンを沸かせてきた。そんな“天才”と称された小野が選ぶ唯一無二のファンタジスタとはいったい誰なのか。勝村から尋ねられた小野は「それはもう俊輔くん。中村俊輔さんを上回る人はいないんじゃないですか」と断言する。

勝村が「やっぱり見ていて楽しかったですもんね。でも、すごい中盤そろってましたね、あの時代」と指摘する通り、小野と中村に中田英寿と稲本潤一を加えた“黄金のカルテット”は、当時、見る者すべての心を躍らせた。しかし、チームの連動性が主流となった今では、ファンタジスタの終焉も叫ばれている。かつて番組に出演した中村は「ファンタジスタは生きにくい」といった言葉を残していた。

小野も「僕自身も、やっぱりそれを感じてる部分があって」と同調。続けて、「スタンドで試合を見る機会が多くなると、サッカー自体は面白いんですけど、また見たいかって言われたら見たくない。見に行きたいとならない感覚が今のサッカーだなっていう。それってやっぱりファンタジスタ的な選手がいないっていうのが一つにあるんじゃないかなっていうのは思います」と主張した。

さらに、小野によればファンタジスタが減ったのは戦術以外にも、埋もれている選手の増加が関係しているという。「今まで出会った選手たちの中にも本当にすごい選手がたくさんいた。でも、そういう選手が出てこない。もちろん一人ひとりの意識もそうなんだと思うんですけど、やっぱり指導者の見る目というか、そういうことも考えられますよね」と、自身の経験を交えながら、日本サッカー界の課題に切り込んだ。

また、才能のある選手を埋もれさせずに育てるためには、サッカーだけではなく、人間性を育てる必要性があるとし、“個性”の重要性も強調。小野は「チームとしての戦い方は大事ですけど、一人ひとりの持っている個性が最大限に活かされたほうが僕は良くて。チームの中で自分の持っているものを出す、色を出すことで、11対11が11対12の感覚になるんじゃないかと思いますね」と指摘した。

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