マラドーナや三浦知良も登場!日本初のサッカー専門番組と実況アナ・金子勝彦さんの影響力

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12月2日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、サッカー実況アナウンサーの草分けで、今年の8月に亡くなった金子勝彦さんの名実況を振り返った。

「サッカーを愛する皆さん、ご機嫌いかがでしょうか?」という金子さんの名フレーズでお馴染みだったテレビ東京の『三菱ダイヤモンドサッカー』は、日本初のサッカー専門番組として1968年にスタート。司会兼実況を務めた金子さんと解説の岡野俊一郎の名コンビで、20年間に渡って放送された。

初代JリーグチェアマンでJFA相談役の川淵三郎は「僕の現役時代に試合を中継してもらったのはテレビ東京ぐらいだったからね。自分のプレーを金子さんに褒めてもらうのは、すごくうれしかった」と述懐。解説の都並敏史も同様の経験があるそうで、「ルーマニア代表と日本代表の試合で僕は先制点をアシストして、すごく褒めていただいた」と振り返った。

日本サッカー界の黎明期から、海外リーグや日本代表の試合を伝えていた『三菱ダイヤモンドサッカー』は、試合の前半と後半を2週に分けて放送。本場の白熱したゲームをお茶の間に届けていた。川淵は「当時、外国と接する機会なんて全くないから、毎週楽しみでしたよね。岡野さんの解説も本当に上手で。いろんな知識をそこで語ってくれましたから」と懐かしむ。日本で初めてW杯決勝を生中継したのも同番組で、オランダのヨハン・クライフと、西ドイツのフランツ・ベッケンバウアーという2大エースがしのぎを削った1974年の西ドイツ大会決勝を、都並は憧れの目で見ていたことを明かした。

番組発のサッカー用語も多く、「ワンツー・リターン」は金子さんが世界の表現に近づけるために生み出し、「ループシュート」や「チップキック」も金子さんによるものだった。また、選手の魅力をより引き立てるのも、金子さんの実況の醍醐味。日本の元祖フリーキックの名手・木村和司に対しては、「170センチ、60キロ、広島県工から明治大学の木村和司。腰の低い見事なドリブルでした」と具体的に実況し、アルゼンチン代表のマリオ・ケンペスについては、「9番、マリオ・アルベルト・ケンペス、アルゼンチン代表。7月8日にお嬢さんのマリアンネちゃんが生まれました」と、パーソナルな情報を交えながら伝えていた。

世界のサッカーを日本に伝え、子どもたちに夢を与えた金子さんの影響力は計り知れない。実は、川淵もJリーグの開幕宣言が金子さんの影響を受けたものだったことを告白。30年前にチェアマンだった川淵が宣言した「スポーツを愛する多くのファンの皆さまに支えられまして、Jリーグは今日ここに、大きな夢の実現に向かって、その第一歩を踏み出します」は、金子さんの「サッカーを愛する皆さん、ご機嫌いかがでしょうか?」を参考にしたものだったという。

金子さんは番組で海外取材も重ねており、現地から日本人選手の活躍を伝えていた。ヨーロッパリーグ日本人プロ第1号の奥寺康彦は「日本の方にも見てもらってるっていうのはすごく嬉しかったし、元気でやってるよっていうメッセージにもなってるだろうし。多くの方は楽しんで応援していただいたんじゃないかなっていう気がします」と感謝。金子さんについては「当時は心を持って我々について発言してくれる人が少なかった。残した功績はすごい大きい」と称えた。

当時のスタジオには、ブラジルのサントスFCでプロのキャリアをスタートさせた1年目の三浦知良も登場。金子さんから「新しい年の夢」を尋ねられた三浦は「去年以上の成績を残すことと、やっぱり1試合でも多く試合に出ることですね」と抱負を語っていた。

さらに、金子さんは1986年のW杯メキシコ大会で、“5人抜き”や“神の手”など、多くの伝説を作ったディエゴ・マラドーナの現地インタビューにも成功。金子さんの「この大会では技術的にも肉体的にも非常に充実してらっしゃるんですけども、その秘密は何でしょう?」という質問に、マラドーナは「秘密なんて特にないよ。活躍できているのは、アルゼンチンのサッカーに対する熱意、それが結果をもたらしてくれるだけさ」と答えていた。

愛にあふれた語りで、日本にサッカーの種を撒き続けた金子さんは、かつて『FOOT×BRAIN』に出演した際に、「いかにW杯や五輪に出ることが大変かっていうのを僕らの世代は一番身に染みてるんですよ。国立競技場の通りを泣きながら歩いて帰ったんですから。それがみんな今、旗振って万歳で帰るでしょ。ああいう時代をいつまでも続けるとW杯で優勝できますよ」と断言。そして、番組には「みんなに見られるような魅力的な番組を、愛にあふれた魅力的な番組をぜひ続けてほしい」とメッセージを残していた。

MCの勝村政信は「金子さんはこの番組をずっと見てくださっていて、前のプロデューサーに感想を電話で伝えたり。だからちょっと僕らは緊張感を実は持っていて。金子さんがいつも見られるんだなみたいな」と回顧。竹﨑由佳アナウンサーから「『ダイヤモンドサッカー』を受け継いで、という気持ちももちろんありますよね?」と振られると、「もう13年経ちましたからこの番組も。追いつかないといけないなと」と意気込んでいた。

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