あなたの貯金はいくら?過半数が「300万円以下」と回答 “節約=禁欲”じゃない?貯蓄術を専門家が伝授

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物価上昇やコロナ禍による閉塞感などで将来への不安が募り、ふと通帳を見て「この先、生活は大丈夫なのか......」とため息をついたことはありませんか。
老後に「2000万円」、いや「5000万円」必要とも言われる時代、どのようにお金を貯めていけばいいのか、現実的にいくら必要なのか......。
「テレ東プラス」では「貯金」についてアンケートを行い、その実態を調査。結果を踏まえ、専門家に話をうかがいました。

理想と現実が浮き彫りに......


Yahoo!ニュースの協力を得て、全国の20〜60代以上の男女2000人にアンケートを実施(2022年2月1日)。まず実際にユーザーがいま、どれくらいの貯金をしているのか。最も多かったのは「50万円以下」の24.3%で、「0~50万円」と回答した総数が486、そのうち40代の人が168(34.6%)50代の人が112(23.0%)。それから「101万〜300万円」が16.5%と続きます。300万円以下が過半数を占め、2000万円超の割合は一気に減っています。

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「老後に備えて、現実的にいくら貯めたいか」という問いに対しては「1001万〜2000万円」が23.9%と多く、「2001万〜3000万円」21.9%、「5000万円以上」20.3%が続きます。
貯蓄額のグラフと見比べると伸び方が逆で「貯めたいけれど貯められない」理想と現実が浮き彫りになりました。

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では年収はどうでしょうか。最も低額の「100万円未満」が26.8%で、次点が「301〜500万円」の24.1%でした。「100万円以下」は女性比率が男性より6%も多く、男女格差も目立ちます。

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「蓄えを増やす方法」は「節約」が56.6%と圧倒的。「投資や資産運用」も39.3%と少なくありません。
内訳をみると、節約術は「買い物でのポイント利用」や「家計の見直し」、投資は「株式投資」「投資信託」が大半でした。また自由解答では、「本当に老後に2000万円以上の貯金がないとやっていけないのか」「効率の良い貯金方法は」「投資をした方がよいのか」などたくさんの疑問が寄せられました。

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アンケートの集計内容や寄せられた意見や疑問をもとに、7000件以上の相談を受けてきたファイナンシャルプランナーの國松典子さんにお話をうかがいました。

「節約=禁欲」ではない


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Q.アンケート結果では「実際の貯蓄額」と「老後に備えて貯めたい額」に大きな開きが出ました。

「『実際の貯蓄額』を見ると、300万円以下が過半数の一方、1000万円以上が全体の4分の1を占めています。いまは貯蓄がある人とない人が二極化しています。

あと『理想の貯蓄額』を2000万円以上と答えている方が全体の半分以上もいますね。やはり、金融庁の報告書が発端となり話題となった『老後2000万円問題』の記憶から、そうした数字を意識するのではないでしょうか」

Q.老後は、本当に2000万円が必要になるのでしょうか。著名な経済アナリストが「年金が下がるなら5000万円いる」と発言したことも記憶に新しいのですが。

「『老後30年間で2000万円が不足する』との試算はあくまでモデルケースで、実際の必要額はその人の生活水準によって異なります。『ひと月10万円あれば暮らしていけるよ』という自営業の方で、国民年金5万6000円(※厚労省算出の2020年平均受給額)を受け取り、老後30年過ごすなら、必要貯蓄は1500万円で足りますし、『ひと月30万円ないと無理』という会社員の方なら、たとえ厚生年金14万6000円(同)を受け取っても5000万円が必要になります。

繰り返しますが、その人の価値観や経済状況によって老後に必要な額は変わります。メディア報道により数字が一人歩きしてしまいましたが、慌てずに『自分にはどれくらいのお金がいるのか』を足元から見直すことをお勧めします。

まずは『収入が途絶えてしまった状況でも数ヵ月~1年食べていける預貯金』をつくりましょう。一人暮らしか家族を養う必要があるか、賃貸か実家暮らしかなどにより具体的な金額や期間は異なりますが、そこを目安にした貯蓄があればひとまず安心です。

それをクリアできれば、今度は今後10年間で使うための貯金(中期)、しばらく使わない資金(長期)と、順番に貯蓄を増やしていく流れをつくるとよいでしょう。『自分が生きていくためにどれくらいのお金がいるか』が明確になれば、漠然とした将来への不安も少し晴れるのでは」

Q.では実際に、どうやって貯蓄をしていけばよいのでしょうか。

「人というのは、残高に応じて生活をしています。ATMで残高照会をして、そこから生活水準を定めていく。ですから、収入があった段階で自動的に一部を貯蓄する仕組みをつくってしまえばいいのです。

これを『先取り貯蓄』といいます。先取り貯蓄の額は、一人暮らしの場合は手取りの10%を、家族暮らしの場合は世帯収入の10~20%を目標に。難しければ無理のない額で構いません。極端な話、先取り貯蓄さえできれば、あとは残りの収入を全て使い切っても構いません。

『ラテマネー』を見直す方法もあります。ラテマネーとは、米国の資産アドバイザー、デヴィット・バッグ氏が考案した言葉で、"毎日1杯500円のコーヒーをとりあえず買う"ような、何気なく使っているお金を指します。家計を探っていけば、日々の生活のルーチンと化し、半ば義務的に買っているラテマネーが浮かび上がってくるはずです。それが本当に欲しい物やサービスなのかよく考え、必要ないのならその『500円』を先取り貯蓄用に回してしまいましょう。

そもそもラテマネーを捻出できない生活の場合は、臨時収入を貯める専用の口座にそのままそっくり入れてしまうのもいいと思います。勤労収入ではないので生活に影響は出ないはず。この方法で、6年で800万円ほど貯めた方もいます。その方の年収はそこまで高くはありませんでした」

Q.ラテマネーは確かに節約につながりそうです。アンケートでは、多くの人が貯蓄の方法として「節約」を選んでいました。

「よくある勘違いですが、実は『節約=禁欲』ではありません。他人から見れば無駄遣いでも、自分にとっては大事な出費、というものをないがしろにしては駄目です。気持ちが後ろ向きになり、結局は節約が続かないからです。そうした趣味や娯楽、交際費といった『変動費』より、見直すべきは保険や電気・ガス料金、携帯電話プラン、使っていないカードの年会費などの『固定費』です。ここを整理すると節約はぐんと効率化するはずです。

そのほか自治体の制度活用などいろいろありますが、節約の要点はライフスタイルを変えずに固定費から見直すこと。どんなお金の使い方をすれば自分の人生が喜ぶのか、他人の目は気にせず、そこを見極めるべきです。節約と人生を楽しむことは両立できます」

Q.蓄えを増やす方法の次点が「投資や資産運用」でした。一方で「投資方法は知っているが始めるのが恐い。結局はタンス預金」との声も。初心者がまず始めるべき投資や資産運用法は?

「投資が怖いという方は、投資と投機が混合しているのでは。投資とは、投資信託や個人型確定拠出年金『iDeCo(イデコ)』『つみたてNISA』などでコツコツと時間をかけてお金を育てること。一方、投機はデイトレードや仮想通貨、FX(外国為替証拠金取引)など相場の変動が短期的な取引のことです。『デイトレードで全財産を失った』『仮想通貨で一攫千金を得た』のようなハイリスク・ハイリターンの話を投資と勘違いして、それならタンス預金の方が安全、と考えたのかもしれません。

お金の価値は変動し、物価も上昇しています。タンス預金をしていても、100万円だったものが未来に同額で買えるとは限りません。できる範囲で投資はすべきだと思います。『一発勝負でもうける』ではなく、まずはつみたてNISAのように、世界経済の成長に合わせて長期で増やしていくものを選ぶといいでしょう。

まとまった資金がないからと投資を敬遠する人もいますが、いまは100円から始めることができます。先ほど話に出たラテマネーの出費を自動で積み立てておけば、知らず知らずにそれなりの額になっているはずです」

Q.生活様式の変化などに合わせ、今後、新たに頭に入れておくべき点などあれば。

「キャッシュレスの普及による無自覚なお金の使いすぎに要注意です。もしお子さんがいるなら、金銭感覚のズレにも気を配った方がいいでしょう。ある学校の授業では、算数の授業で子どもが『お釣りって何?』と先生に質問したそうです。カードを改札機にタッチするだけなので、電車はタダで乗れると思っている子もいると聞きました。

日本では、外国のように義務教育で金融について学ぶ機会はほとんどありません。これまでは国が守ってくれていたから勉強せずに済みましたが、これからは自分たちでなんとかしていかなくてはならない時代です。

老後の年数も変化しました。厚労省の調査によると、約100年前は平均寿命が61歳で、老後はそのうち1年でした。しかし現在は平均寿命の伸びから、65歳で現役を引退しても老後は20年近くあります。長い老後に備えて、今日からの100円、1000円積み立てが後半に効いてくるはず。将来のマネープランはいまから始まっています」

※この記事はテレ東プラスとYahoo!ニュースによる共同企画で、Yahoo!ニュースが実施したアンケートの結果を活用しています。全国のYahoo! JAPANユーザー(20代~60代以上)を対象に行い、2000人から有効回答を得ました(年代は20代6.8%、30代18.3%、40代31.7%、50代が27.2%、60代以上14.6%、教えたくない1.6%。男女比はほぼ6対4)。

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【國松典子(くにまつ・のりこ) プロフィール】
株式会社FPQ代表取締役。CFPⓇ(日本FP協会認定)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。大手コンサルティング系会計事務所在籍中の1995年にファイナンシャル・プランナー資格を取得、財産コンサルティング会社取締役を経て2005年に独立。30年以上にわたり財産コンサルティングに従事。"お金の賢者" "家計の達人"としてテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・WEBなど、多数のメディア出演・掲載実績あり。
公式サイト

(取材・文/森田浩明)

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