“薄毛治療”に”コント動画” …韓国大統領選のカギは若い無党派層<WBS>

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薄毛治療に健康保険を適用するという公約を訴える李在明候補。

韓国の次の大統領を選ぶ選挙戦が15日、本格的にスタートしました。接戦が伝えられる中、勝敗のカギを握るのが20代から30代の若者です。無党派が3割を超えると言われる、この世代の票を取り込もうと、各候補がアプローチ合戦を繰り広げています。

政権交代の是非が最大の焦点となっている今回の大統領選挙。世論調査では最大野党「国民の力」の尹錫悦候補と、与党「共に民主党」の李在明候補が僅差で争う展開となっています。また、ここにきて支持率で3位につける「国民の党」の安哲秀候補が、尹候補に野党候補の一本化を提案。実現すれば、構図が大きく変わるため、その行方も注目されています。

こうした中、ソウル市内の学生街ではあるデモが行われていました。プラカードには「歴代で最も選ぶ候補がいない大統領選挙」と書かれています。ここに突如現れたのは、ホッキョクグマのマスコットで「絶滅が危惧される若者に誰も変化を約束しない」と演説します。絶滅危惧種に指定されるホッキョクグマと重ね合わせ、韓国の若者もまた"絶滅の危機"にあると訴えます。

今、韓国では厳しい学歴社会による就職難に加え、文在寅政権下でマンション価格が2倍に高騰。若者は閉塞感をひときわ強めています。デモに参加した学生は「(今の悩みは)就職問題だ」「韓国経済は発展しているが格差が大きくなっている。それを解決する人が政治家にはいない。未来が真っ暗です」と話します。

こうした若者世代は、政治不信から無党派の割合が高く、浮動票が多いだけに、大統領選の候補者たちは若者の支持獲得に躍起になっています。

李在明陣営が若者層の獲得に向け、今年設けた事務所。この事務所を拠点に活動するおよそ80人の若者運動員が行っているのが、「リスナープロジェクト」という取り組みです。

リスナープロジェクトは、若者運動員が地方都市などにも出向いて、同世代の声を聞き、候補者の活動に生かすのが狙いです。去年11月から延べ1100人に悩みを聞き、実際に政策に繋げた事例もあるのだといいます。

その一つが、李在明候補が先月に掲げた、薄毛治療に健康保険を適用するという公約です。リスナープロジェクトの中で、30代以下が高額な薄毛治療に深刻な悩みを持っていることがわかり、この公約を打ち出したのだといいます。

「国会で話されていることより、実際に青年が抱えている問題がある。薄毛治療に関する公約もこうした取り組みで発掘した」(李陣営の運動員)

一方の保守系最大野党、「国民の力」の尹候補もまた、若者層へのアピールを強化しています。特に力を注いでいるのが動画配信です。40秒から50秒の短い縦型動画で国民に身近な公約をアピールします。

公約を紹介するコント風の動画は話題となり、中には80万回近く再生されたものもあります。クッキング姿を披露したり、AI(人工知能)で作成した候補の分身が政策やビジョンを伝える動画も配信しています。

しかし若者は、各候補のこうした戦略にも冷静です。

「尹候補の動画はPR効果としては新鮮だった。最近のトレンドに合わせた。どう実現するのかの具体的な説明を討論会などで話すべきだと思う」(30代男性)

「正直に言うと、かなわない公約も多いと思うし、選挙シーズンにだけ言っているのではないかと思う」(30代男性)

3月9日に投開票を迎える大統領選挙。各候補の訴えは若者に届くのでしょうか。

※ワールドビジネスサテライト
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