セブン&アイがそごう・西武売却へ 投資ファンドは好立地に注目

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セブン&アイの営業損益を見ると、利益のほとんどは国内や海外のコンビニ事業だ。

セブン&アイ・ホールディングスは、傘下の百貨店事業会社、そごう・西武の売却について、2月中にも入札を始める方向で調整していることがテレビ東京の取材で明らかになりました。

報道を受けて、セブン&アイ・ホールディングスは1日、文書で声明を発表。「そごう・西武の株式売却を含め、あらゆる可能性を排除せずに検討を行っておりますが、何も決まったものはございません」と売却を検討しているものの、決定したことは何もないと強調しました。しかし、報道を受けて株価は急上昇し、一時、上場来高値を更新する場面もありました。

セブン&アイの関係者は取材に対し「そごう・西武の売却方針は固まった。長年ずっと検討してきたことだが、昨年12月くらいにかなり具体化した。低収益でずっと赤字だったので、それは仕方のないこと」と答えました。セブン&アイの中からは売却額として、2000億円を見込む声も上がっています。

この事業売却の決断を迫ったのが"物言う株主"です。セブン&アイの株式を4.4%保有するアメリカの「バリューアクト・キャピタル」は1月25日に書簡を送付。書簡には「セブン&アイがセブンーイレブン事業に集中した場合には、この成長産業におけるグローバルなチャンピオンになることも可能です。逆に、このまま集中を行わない状況が続けば、平凡、または、さらに悪い結果となるリスクすら抱えています」と書かれています。ファンド側は稼ぎ頭であるコンビニ事業に経営資源を集中させるべきと主張したのです

そごう・西武の前身は2003年に経営統合で生まれたミレニアムリテイリング。そのわずか3年後の2006年、鈴木俊文会長兼CEOが率いるセブン&アイがミレニアムリテイリングを傘下に収めたのです。イトーヨーカドーとの相乗効果を狙いましたが、専門店やネット通販の台頭で、その後も百貨店事業は低迷。セブン&アイの営業損益を見ると、利益のほとんどは国内や海外のコンビニ事業。足元では新型コロナの影響もあって、そごう・西武部門は赤字に陥っています。

流通業界に詳しい分析広報研究所の小島一郎チーフアナリストは、テレワークの浸透もあり、消費する場所が変わってきたことも、売却の判断に繋がったとみています。

「消費者が都市部で消費するように戻るのか。百貨店の立地は都市部のターミナル駅前が多い。その立地の強みが戻らないままになってしまわないか懸念される。今の時点で折り合いをつけて処分したいというのはあったのではないか」

ある投資ファンドの幹部もテレビ東京の取材に対し、駅前の一頭地が売却の鍵になると見ています。明かしました。

「そごう・西武にあるのは不動産価値だけだ。買う側は百貨店事業に関心がない。駅前開発だけだ。それができるのは、不動産開発に強いファンドになるだろう」

好立地に注目する投資ファンドなどを中心に、売却交渉が本格化していくことになります。

セブン&アイ・ホールディングスの株主である投資ファンドは、今回の百貨店事業だけではなく、セブン&アイ・ホールディングス全体の経営戦略の変革も要求しているということです。今後どのような事業再編に繋がるか注目です。

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