食品デリバリー好調も… 原油高でプラスチック容器、ポリ袋に値上げの波<WBS>

取得元:https://dogatch.jp/news/tx/txplus_111181/detail/

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原油価格の高騰で値上げされそうなプラスチック容器。

コロナ禍で、テークアウトやデリバリーの利用者が増えたことで需要が高まっているのが、プラスチックの容器です。原油高が進む中、こうした容器にも値上げの波が押し寄せてきています。

都内にある「宅配弁当京香」赤坂店は自慢の唐揚弁当を中心に、1日に200〜300個の弁当を売っています。そこで欠かせないのがプラスチックの容器ですが、この容器をめぐり、ある懸念があります。

「今は容器の値段を据え置いてもらっているが、業者からは3月をめどに値上げする予定と聞いている」(同店の店長)

この店では容器の値段が弁当の価格の1割ほどを占めていて、値上げされれば弁当自体の値上げも検討せざるを得ないと言います。

「宅配なのでガソリンを結構使う。ガソリンもすごく値上がりもしていて、ここにきて容器の値段も上がる予定ということであれば、お手上げ寸前みたいなところです」(同店の店長)

ニューヨーク原油先物価格は一時、1バレル89.72ドルと7年4ヵ月ぶりの高値水準に達していて、プラスチックの原料となる資源価格も高騰しています。あるデリバリー容器大手では、既に値上げを始めていて「原材料のポリスチレンの価格が、21年4月、7月、10月と3回にわたり上昇している。自助努力ではコストの吸収が困難だ」といいます。

値上げの波はプラスチック業界全体に広がりつつあります。

ゴミ袋やレジ袋などを手がける日本サニパックの井上充治社長は「過去にないような、長期間にわたる非常に大きなインパクトで、全ての商品を対象に値上げのお願いをしている」と話します。同社では去年9月に15%以上の値上げを発表しましたが、その後も原油高が続き、2回目の値上げも検討中だといいます。

そこで日本サニパックでは、プラスチックと天然ライムストーン(石灰石)の複合素材の開発を進めています。同社が開発した「nocoo」(ノクー)は石灰石を配合することでプラスチックの使用量を約2〜4割程度減らしたポリ袋です。環境への配慮から開発しましたが、原油高の影響を受けにくい商品として、今後売り上げを伸ばしたい考えです。

こうした石油を使わないプラスチックは今、各社で開発が進められています。

製紙大手の王子ホールディングスでは、食品の容器にも使われるプラスチックの一種であるポリ乳酸を木材から作る技術を、世界で初めて開発しました。木材のチップから取り出した繊維を液状に分解し、これを発酵させて作り出した乳酸をさらに化学反応させることでプラスチックが出来上がります。現在の価格は石油由来のものより割高ですが、量産化できれば抑えられるといいます。

「我々は持続可能な森林経営をしているため、価格面や供給面で安定力を示せる。石油由来のプラスチックを置き換えられるのが魅力」(王子ホールディングスの担当者)

同社では58万ヘクタールの広大な森林を所有しているため、原料の木材を安定して調達できるといいます。今後量産化の体制を整え、2025年以降の実用化を目指します。

※ワールドビジネスサテライト
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