さばを愛するイギリス人男性が、創業240年の名店でさば寿司に感動!屋久島でさばの一本釣りも:世界!ニッポン行きたい人応援団

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ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

今回は、「ニッポンにご招待したら人生変わっちゃった! スペシャル」をお送りします。

伝統ある京都のさば寿司を学び、屋久島で幻のさば刺しを初体験!


紹介するのは、イギリスに住む、さばを愛するジャックさん。

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秋から冬にかけて旬を迎える「さば」。縄文時代から食され、長い歴史の中で世界に類を見ないほど多彩なさば料理が育まれました。近年、大分の関さばや三陸の金華さばなどのブランドさばが、全国で次々と誕生しています。




世界中で海の生き物を研究しているジャックさんは、13年前、日本人の研究仲間が作ってくれたしめさばに感動。ニッポンに一度も行ったことはありませんが、本を参考にさば料理に挑戦しています。中でも一番凝っているのが「しめさば」。

早速、しめさばを作ってもらいます。まずは三枚おろしにし、塩を振って1時間。臭みと余分な水分が抜け、身が引き締まるそう。続いて砂糖、醤油、酢を混ぜた合わせ酢を作り、柚子の代用としてオレンジの皮を投入。塩を洗い落としたさばに合わせ酢を加え、冷蔵庫へ。

「酢でしめる時間が難しいんです」と話すジャックさん。京都を中心とした西日本では酢の浸かりが深く、そのまま食べるのが一般的。対して東日本では酢の浸かりが浅く、わさび醤油などで食べることが多いそう。この日は15分しめて薄皮をはぎ、刺身にして完成! 関東風にわさび醤油でいただきます。

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「同じ島国なのにニッポンには実に多様な魚文化が根づいています。実際にニッポンで食文化を学んで、イギリスにも広めるのが夢なんです」と話します。そんなジャックさんを、3年半前、ニッポンにご招待!

向かったのは、京都。かつては若狭湾で獲れたさばを新鮮なうちに塩漬けし、行商人たちが一晩かけて鯖街道を通り、京都まで届けたそう。鯖街道とは、福井県の小浜から京都までの、約70キロの道のり。街道沿いには小浜の「浜焼きさば」、滋賀県長浜の「焼きさばそうめん」など、さばを使った郷土料理が生まれました。

そして、京都で発展したのが、塩さばを酢でしめて作る「さば寿司」。めでたい日のご馳走として古くから愛され、今も多くの名店が存在します。中でも老舗中の老舗が、祇園の中心に佇む1781年創業の「いづう」です。

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早速、240年の歴史が詰まったさば寿司をいただきます。初代・いづみや卯兵衛の名前にちなみ、断面の酢飯をうさぎの形にしているのが特徴。八代目当主・佐々木勝悟さんによると、昆布を巻くのは旨味成分を寿司に移すためで、乾燥を防ぐ役割も。

時間が経つと昆布の風味が豊かになるということで、作ってから1時間、8時間、20時間と時間の違う3種類を食べ比べします。20時間経ったものは「さばの旨味が新鮮な状態より凝縮された気がします」とジャックさん。京都のさば寿司は、寝かせることでさばのタンパク質が旨味成分のアミノ酸になり、さらに昆布の旨味が移ることで、深みのある味わいになるのです。佐々木さんが好きな8時間寝かせたものは、「さばの新鮮さが残りつつ昆布の旨味もちょうど良いですね」と、ジャックさんも気に入った様子。

ここで、特別に厨房へ入らせていただきます。まずは、さばを三枚におろす「おろし場」。使うのは、ほどよく脂がのった肉厚の「まさば」。おろす前に「ささら」という道具で、臭みのもととなる血合いを取り除きます。わずかな傷でも食感や味にばらつきが出るため、竹の細かな繊維で身を傷めずに血合いを取り除ける、ささらを使うそう。

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この道20年の職人からレクチャーを受け、三枚おろしに挑戦しますが、真ん中の部分に身が残ってしまいました。実は、さば寿司の工程は魚のおろしから炊飯まで、専門の職人による分業制。仕事を特化し、ばらつきのない味を代々守り続けてきたのです。

おろしたさばはすぐ塩でしめます。この塩のふり方にも、職人の細やかな気配りが。脂のノリがいいお腹は塩を厚めに盛り、身が薄い尻尾の部分は薄めに。こうすることで、臭みのもととなる水分がバランスよく抜け、身の弾力も均等になるのだとか。

出てきた水分を洗い流したら、米酢に2~3分浸けます。浸ける時間が短いのは、さばの旨味が酢の中に出てしまうのを防ぐため。表面についた酢だけを、一晩かけてじっくり身に浸透させます。酢でしめることでタンパク質が固まり、旨味成分が閉じ込められるのです。

そして「いづう」最大のこだわりが、氷を使った冷蔵庫。氷のおかげで身は乾燥せず、しっとり。さらに電気の冷蔵庫よりも高い10度を保てるため、熟成を進めてくれるそう。
こうして長時間高温で寝かせて旨味が生まれたさばに、さらなる旨味を加えるのが昆布。使うのは、旨味成分が極めて高い北海道産の真昆布です。この昆布の旨味と塩気が、さばと酢飯に浸透。時間とともに深い味わいを与えます。

続いては、寿司飯を炊く専門の職人がいる炊飯場へ。滋賀県産の江州米を、昆布とかつお節の一番だしを3倍に薄めたもので炊きます。砂糖を混ぜた米酢をたっぷり加えたら、手早く混ぜ、1粒1粒にコーティング。ちなみに、火に近い鍋肌のお米は固くなるため使わず、酢飯にムラが出ないようにしています。

混ぜた酢飯は、常温で一晩寝かせます。こうすると、お米の芯まで合わせ酢が染み込むそう。佐々木さんは、寝かすという調理法が一番大切だと語ります。この時欠かせないのが、100年以上使っているという木桶。木が余分な米の水分を吸ってくれるのです。ここで、ジャックさんから「お米はどれくらい研ぐのが正解ですか?」という質問が。透明になると美味しさが逃げるので、濁りの度合いを見て判断しているそう。

最後の仕上げは、佐々木さん自ら行います。一晩熟成させたさばの半身を切り分け、長方形にしたところに一晩寝かせた酢飯をのせ......さらしで包み、酢飯をつぶさないよう余分な空気を抜いていきます。「魚とご飯が同じ食感になるように握っています」と佐々木さん。最後に昆布を巻けば、「鯖姿寿司」の完成です。ジャックさんは、昆布の作業は別にしていたのに、最後に長さが合うことにびっくり。それぞれの分野にスペシャリストがいるという佐々木さんの言葉を聞き、「その技を次の人につなげていくんですね」と感動!

別れの時。ジャックさんは感謝の印として、「いづう」の皆さんと撮った写真をあしらった色紙を贈ります。すると、佐々木さんから寿司桶のプレゼントが! 「素晴らしい贈り物すぎて、泣いてしまいそうです」と大感激でした。

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あれから3年半。ジャックさんの色紙は、「いづう」で今も大切に飾られています。コロナ禍でお店に足を運べないお客さんのために、オンラインショップを開設。伝統の味を、より多くの方が楽しめるようになっていました。

続いて向かったのは、鹿児島県の屋久島。ここで明治時代から栄えてきたのが、身が傷まないよう一本釣りで行うさば漁。晩秋から冬にかけて旬を迎える、屋久さばの刺身は絶品です! 鮮度が命のため、島の外ではめったに食べられない幻の味。

飛行機と高速船を乗り継ぎ、約7時間。さば漁が盛んな島北部の一湊(いっそう)漁港へやって来たジャックさん。今回は、一本釣り歴47年の鞆(とも)保徳さんに、さば漁を見せていただきます。

ところが到着した日は雨のため、鞆さんのご自宅へ。暖流に囲まれた屋久島は、絶好の漁場である一方、「ひと月に35日降る」と言われるほど雨が多いのです。そこで鞆さんが始めたのは、疑似餌作り。さばの好物の小魚に見立てて作る擬似餌は、一本の竿に9個用意。ジャックさんも疑似餌作りを体験し、さらに擬似餌をつける幹糸の結び作りも教えていただきました。

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翌日、雨は止んだものの風が強く、2日続けて漁は中止。再びご自宅を訪れ、さば刺しを振る舞っていただくことに。実は、漁で釣れなかった時のことを考えて、事前に取っておいてくれたのです。生け簀に入ったごまさばを見せていただくと、色が白っぽくなっています。

釣った瞬間はよく見るさばの色ですが、生け簀に入れるとストレスがなくなり、白い色になるそう。ストレスを感じると、身が縮んだり体の水分が出たりしてしまうため、「白い姿の方がおいしい」と鞆さん。できるだけさばを傷つけず、ストレスをかけない一本釣りだからこそ、抜群の鮮度を保てるのだとか。さらに、船に生け簀が取り付けられたことで、より新鮮な状態で港まで運ぶことができるようになったのです。

鮮度抜群のさばを、刺身でいただきます。鞆さんの奥さんと、友人の森山登喜子さんが作った屋久島の伝統料理も! 自家製の味噌に、ざらめと燻製にしたさば、みりんを入れて煮詰めたさば味噌などが並びます。

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まずは、薄造りにしたさばの刺身を口にし、「生臭さが全くなくて、さばの風味がとても際立っています」と絶賛! 「さばの白子」や、さばをすき焼き仕立てにした郷土料理「さばすき」、芋焼酎も楽しみ、楽しいひと時を過ごしました。

3日目も雨。鞆さんに誘われ、昼からおでんとシャンパンで盛り上がり......この日は森山さんのお宅に泊めていただくことに。屋久杉の梁とヒノキで造った日本家屋に感激し、お風呂上がりにビールをいただき、夢だった畳の部屋で日本の生活を満喫します。

4日目、いよいよさば漁へ。伝統の一本釣りを始めると、わずか5分で鞆さんより先に屋久さばを釣り上げ、大興奮! 雨の後で水温が低かったこともあり、釣れたのは4匹だけでしたが、4日越しに「さば漁を見たい」という夢が叶いました。

別れの時、ジャックさんは鞆さんに宛てた手紙を読みます。さばと幹糸の結びの絵が描かれた手紙には、温かいおもてなしへの感謝と、今回の経験をイギリスでも生かしたいという思いが綴られていました。お土産に屋久島Tシャツとさば味噌をいただき、皆さんとハグを交わします。

あれから3年半。コロナ禍でも漁に出ている鞆さんは、これから旬を迎える屋久さばを楽しみにしているそう。一方のジャックさんは、教えてもらった調理法を生かしてさば料理を楽しんでいました。屋久島での体験が感動的だったため、さば釣りも始めたそう。魚の研究をしているジャックさんは、ニッポンでは学びたいことがまだまだたくさんあるとのことで、「またニッポンに帰ってきます!」と話してくれました!

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