2017年、『連続テレビ小説 ひよっこ』(NHK、2017年)でデビュー。翌年に野田秀樹さん脚本、中屋敷法仁さん演出の舞台『半神』で当時乃木坂46だった桜井玲香さんとW主演を務め、話題を呼びました。劇作家で俳優の長塚圭史さん主宰の劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」にも所属しており、テレビ、舞台と活躍の場を広げています。
また、“日本舞踊家”の顔を持ち、幼少期より、祖母の初世家元・藤間紫に師事。2021年には、紫派藤間流家元・三代目藤間紫を襲名しました。
『ボイス2』で藤間さんが演じているのが、新人室員の小松知里。7月31日に放送される第4話では、彼氏から暴力を受けた知里が連れ去られ、大ピンチに。緊急指令室(ECU)は、彼女を救うことができるのか……手に汗握る展開が待ち構えています。
今回、藤間さんの素顔を探るべく、好きなテレビ番組から、影響を受けた人物まで幅広く質問! すると、俳優として、日本舞踊家として、まっすぐに突き進む彼女の“心の声”が聞こえてきました。
――現在、ご覧になっている好きなテレビ番組を教えてください。
録画してよく見るのは『ザ!世界仰天ニュース』です。あと動物番組もよく見ますね。
――前回のインタビューでは、YouTubeで世界の事件を見るのがお好きだとおっしゃっていました。
これだと、“すごい事件好きな人”みたいになっちゃいますね(笑)。でも、本当の話だからこそ、そういった事件モノが好きなのかもしれないです。映画も実話を基にしているものだと、“こんなことが世界で起きていたんだ!”とゾクゾクします。
――配信系は、いかがですか?
コロナ禍においては、海外ドラマ『ウォーキング・デッド』にハマりました。みんなのブームが終わったときに……ですけど(笑)。
――登場人物の中で、特に思い入れのある人物はいますか?
ゾンビに共感しちゃうんです。ゾンビ映画もいろいろ見たんですけど、動きがゆっくりなゾンビがちょっとおバカで愛おしい。動きの速いゾンビ作品も見たんですけど、それは好みじゃなかったです(笑)。『ウォーキング・デッド』は、最後「ゾンビ対人間」ではなくて「人間VS人間」になっていきますからね。ゾンビを利用しながら戦っていく……そこがいいですよね。
――影響を受けたエンタメ界の人を教えてください。
黒木華さんが好きです。この前、撮影をご一緒した時も、本当に気遣いがすごくて……。もちろん、映画やドラマでも素晴らしいし、なんと言っても和服が似合うし、すごく素敵だなって思って憧れています。
もちろん前から拝見はしていましたけど、実際に共演すると、さらに好きになりました。ご本人には言っていないですけどね。
――見た目はもちろんですが、実際に相対してみて、内面の素晴らしさにも心を奪われたんですね。
出演者の方、スタッフの方など、周りをすごく見ていらっしゃるんですよ。『ボイス2』で共演している主演の唐沢寿明さんもそうですけど、上に立つ方って、気遣いができる方ばかり。私もそうなりたいと思いました。
――役者をするにあたって大切にしている信念を教えてください。
舞踊も、舞台も、映像も、その役の人生を生きることはすごく難しいけれど、常に念頭に置いて演じています。ただ、どんなことにも柔軟でありたいとは思っていて。決めすぎないで、その場の雰囲気、相手の反応を大事にしたいなって思っています。
舞台の稽古中、演出家の方に「爽子の芝居は、この後、なにが起こるか予想がついてしまう」と言われてきました。直っているかは分からないですけど、注意をされてきたことなので、気をつけてやりたいなと。特に映像はリアルなお芝居なので、柔軟に動けるようになりたいですね。
――ベースに舞踊があったからこその考えなのですか?
逆に舞踊は決めてしまうんですよ。(柔軟にできなかったのは)舞踊の名残りなのか、自分の性格なのかは分からないですが、終わりに向かってどう進むのか、自分を演出するような感覚でやっていたんですけど、舞台や映像って集団じゃないですか。相手がいて自分がいるので、一人よがりにならないように気をつけています。
――今年、三代目藤間紫を襲名されました。
自分の中にようやく名前が馴染んできたというか。名前を呼ばれても、それまでは、“あれ、私のことか?”といった感じでしたけど、いまは振り向くようになりました(笑)。最近は藤間爽子の名前が、古く感じるようにもなっています。
――ということは、胸中の変化もあったと。
祖母の積み重ねてきたものを壊さないようにはしていますが、祖母と私は違う人物だし、私は自分なりのものを作っていきたいです。今まで自分のやりたいことをやってきましたが、襲名してからは、自分の流派のことを思いながら、考えながら、“日本舞踊を盛り上げる側に立たなければならないな”と、自然とそういった心持ちになりました。
――具体的に、お祖母様との違う点はどんなところだと感じていますか?
祖母にはカリスマ性があり、芸に魅了されてみんなが集まってきましたけど、私にはそういったものがない。カリスマ性もないですし、芸に魅力があるかと言われても、まだまだ。私は、芸で惹きつけるというよりも、“みんなで一緒に”という側の人間だと思うんです。年齢と共に(考え方は)変わるのかもしれないですけど、今は、そうやってやっていこうと思っています。
(取材・文・写真:浜瀬将樹)
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