生命と向き合う医療の現場を描く迫真の医療ドラマ。一刻を争う緊迫した状況と、その裏に流れる温かいヒューマンドラマのコンビネーションが胸に迫る。国内でも『アライブ がん専門医のカルテ』『トップナイフ－天才脳外科医の条件－』など、今クールだけで6本がしのぎを削る人気のジャンルだ。もちろん海外作品にも秀逸なシリーズは枚挙にいとまがない。Amazon Prime Videoで配信中の医療ドラマから、とくにおすすめの作品トップ5をご紹介したい。

♦︎5位：『ロイヤル・ペインズ～救命医ハンク～』

若き敏腕ドクターの、ハンク・ローソン。勤務先の病院で死亡事故が起き、その責任を不運にも押しつけられる形で将来への道を奪われてしまう。失意の彼はうさんくさい弟のエヴァンに勧められるまま、ニューヨークのセレブたちがバカンスを過ごすビーチリゾート、ハンプトンへ。リッチなクライアントに仕えるドクターとして第2のキャリアを歩み出す。早々に助手もついて出だしは良好に思えたが、ハンクが診療するのは議員やオーナーシェフなど、身分もプライドも高いエリートたちばかり。さすがの陽気なハンクも、上から目線の患者たちに頭を抱えることに。せめてビーチが賑わう夏の間だけはやり切ろうと決意したハンクだが、その活躍は全8シーズンに及ぶことになる。

♦︎4位：『ゲッティング・オン』

続いてご紹介する『ゲッティング・オン』は、病院を舞台にしたドタバタコメディ。歯に衣着せぬ物言いがたたり、医師のジェナ・ジェイムズは介護病棟に左遷されてしまう。異動先で彼女が出会ったのは、万年予算不足の現場に不安を隠さないドクターと、いま一つ頼りにならない職場の仲間たち。患者たちが巻き起こす院内での事件に体当たりで対処してゆくジェナだが、質の高いケアを信条とする上司のパッツィとは真正面から対立。日々巻き起こる騒動と向こう見ずなジェナの一手が、ダークな笑いを生み出す名シリーズだ。全3シーズンが配信されている。

♦︎3位：『ザ・ニック』

コメディから一転、3位『ザ・ニック』は天才外科医のジョン・サッカリーを主人公にした、倫理と社会問題を問いかける作品。時は1900年、ニューヨーカーたちが訪れたザ・ニックと呼ばれる大病院。サッカリーは外科の主任医師に昇格するが、副主任に推薦されている黒人のアルジャーノンとの間に、人種の違いによるあつれきが発生してしまう。チームに亀裂が生じたままサッカリーは、解剖用の死体の受け入れや元彼女への手術など、難しい判断を迫られる。抗生物質も輸血も一般的でなかった当時の医療水準に加え、コカインの蔓延や政治腐敗などの外部要因もサッカリーへの試練となる。スティーヴン・ソダーバーグ監督による緻密な画づくりにもぜひ注目を。全2シーズン、計20話なので、比較的取り掛かりやすいだろう。

♦︎2位：『グレイズ・アナトミー』

医療とロマンスを巧みに掛け合わせた『グレイズ・アナトミー』は、医局を舞台にしたドラマのなかでも最も著名なシリーズのひとつだ。外科のインターンとしてシアトル・グレース病院にやってきたメレディス・グレイ。医学校から現場へのデビューで気合十分の彼女だが、最前線の厳しい現実の洗礼を受けてうろたえてしまう。メレディスの動揺は、上司のデレクを見た瞬間にピークに。実は配属前夜、未来の上司とは知らずに一夜限りの関係を楽しんだ相手だったのだ。外科チームの片隅には、現在『キリング・イヴ』で人気絶頂のサンドラ・オーの姿も確認できるので要チェック。米国では現在シーズン16を放送中だが、日本のAmazon Prime Videoでは字幕版でシーズン13までを視聴できる。（吹替版はシーズン12まで）。

♦︎1位：『ER緊急救命室』

栄えある1位は、スリリングな医療ドラマの代表格『ER』に捧げたい。大量の食中毒患者、徘徊する謎の女、聴覚に異常があるという少年など、興味を引く患者たちがシカゴ近郊のクック郡総合病院へと毎回担ぎ込まれてくる。一刻を争う事態に、高度な専門知識をもって冷静に対応する緊急救命チームの面々。その手腕に感嘆すると同時に、患者たちが隠すどこか不自然な事態の裏側を明かす一種のミステリーとしても楽しめる作品だ。さらには人間ドラマもシリーズに深みを与えている。有利な条件での引き抜きを提示され、チームへの去就を悩んでいる優秀な若手医師のマークなど、秀でた医師たちの心の揺らぎが人間味あるドラマを奏でる。全15シーズンが配信中だ。

いまも昔も人気の医療ドラマには、すでに10シーズン前後続く長寿シリーズが目立つ。いつの世も愛されるジャンルを視聴して、医師と研修医たちの活躍に勇気をもらいたい。（海外ドラマNAVI）

Photo:『グレイズ・アナトミー』(C) ABC Studios／ 『ER　緊急救命室』 TM & (c) Warner Bros. Entertainment Inc.／ 『ザ・ニック』©CINEMAX