"僕泣かない…"『アベンジャーズ/エンドゲーム』10年以上アイアンマンを演じた藤原啓治の想い – 映画

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全世界興行収入歴代1位の大ヒット作となった2019年公開の映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』。今世紀最強の『アベンジャーズ』シリーズの完結編であり、世界中が待ち焦がれ、ヒーローたちの"誇り"に涙した本作。そんなマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)シリーズの記念すべき第1弾、『アイアンマン』(2008)より約10年、アイアンマンことトニー・スタークの声を務める声優、藤原啓治に直撃した。

MCUシリーズをきっかけに、トニー・スタークを演じるロバート・ダウニー・Jrの吹替えといえば藤原啓治となりつつある。海外ドラマでは、こちらも世界中で社会現象を巻き起こしたサバイバルドラマ『LOST』のソーヤー役(ジョシュ・ホロウェイ)や、サスペンスドラマ『ハンニバル』のフレデリック・チルトン医師役(ラウル・エスパーザ)でお馴染みだ。今回、トニー・スタークの運命が綴られる『エンドゲーム』と、これまでの10年を伺った。(※本記事は、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の重要なネタばれを含むのでご注意ください)

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――2008年公開の『アイアンマン』から約10年。当初のトニー・スタークは金儲け主義者な少し嫌な奴でその後正義に目覚めるも、ニューヨーク決戦後(『アベンジャーズ』)に心身ともに追いつめられたり、キャプテン・アメリカと衝突(『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』)することもありながら、地球を何度も救ってきました。そのように変化するキャラクターを長年演じる中でこれだけは、これだけは演じる上で貫いたということはありますか?

最初は鼻持ちならないキャラクターでしたね。でも根っこが変わらない人だと思うので、変化があったのかどうか自分ではあまり感じたことがなくて、自然のなりゆきでちょっとずつ、変わってきたように感じます。特別何かを意識しながら、お芝居することはなかったような気がしますね。


――おしゃべりなスタークには印象的なセリフが多く、私は『アベンジャーズ』でキャップから「スーツがなければ何者でもない」という風に言われて「天才、億万長者、プレイボーイ、慈善家」と言い返すところが特に好きですが、藤原さんのお気に入りのセリフはありますか?

これは難しいよね。どうしても最近はあの最期のシーンしか浮かんでこないんだよね(笑) 肝になる言葉で、ちゃんと言えるかどうかがすごく心配で気にしていたセリフですから。ほんとはもっとさりげない、そう来たかと言われるようなセリフを挙げたかったんですけど、そういうのはなかなか見つけにくいですね。どうしてもあのセリフになっちゃうんだよな。最期のセリフだと思っちゃうとやっぱり思い入れが強いですよね。

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――『エンドゲーム』をもってスタークの旅路は終わりますが、それを知った時、そして演じた時のお気持ちは?

「はい、これ原稿です」と台本を渡されて、一人でチェックしたのですが、悲しくて涙が出てきました。一人で良かったなと思いましたね(笑) これ僕泣かない...って小学生みたいだな(笑) "僕泣かないで、ちゃんと演じられるかな"って思いました。トニーの葬式後の部屋のシーンでのモノローグみたいなセリフもそうですし、「3000回愛している」というあたりなんか、"これちょっと無理だな"って思いました。淡々としゃべっているからこそ良いシーンなんですけど、"これ僕泣かないで、しゃべれるのかなあ"って。「なんか、やばいよ、やばいな、これ。えぇー」とかって、独り言ずっと言っていましたね(笑)


――実際の収録現場ではいかがでしたか?

僕、泣かなかった(笑) 泣きたい気持ちはあったんですが、グッと抑えて言う方がむしろ感動的ですよね。もちろん俳優がそういう風に演じているから合わせるんですが、トニーがそこまで腹をくくって、しゃべっているということでもあると思うので。そのおかげか、僕の収録も案外大丈夫だったなって。泣かずにできたかなって(笑)


――スタークの他にも『エンドゲーム』をもってひとまずマーベル作品とお別れするキャラクターがいますね。それは声優さんもそうだと思うのですが、アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?

活気に満ちてましたね。って嘘ですけど。時間違いで一人ずつ録っているので、他の人と会うことすらなかったですね。もしかしたら一人二人、僕と同じタイミングでスタジオにいたかもしれませんが、少なくとも録る時は、音と音が被っちゃいけないので、全部一人でした。割と孤独な作業ですね。

一日あたり何時間かに分けて録っているので、1日では終わらなかったですね。思ったよりは早かったんですけど、収録した分をチェックしてもらって、リテイクすべき箇所があれば再収録していました。全部で4~5日ですかね、1日5~6時間かけていました。

ただ、収録済みの方たちの声は聴こうと思えば、調節して聴けるので、なるほどこういうお芝居しているんだなって、参考にしながら録ることもありました。


――スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカとスタークが衝突しながらも、力を合わせて戦う中で時折交わす冗談のようなやりとりが個人的には好きなのですが、藤原さんがキャプテン・アメリカ役の中村悠一さんとお話しすることはあったのでしょうか?

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一回スタジオでお会いしたことはありましたね。僕の次が彼で、入れ違いに「おぉー」なんて。でも、そのぐらいでした。


――このようにしてケミストリーを作り出したとかいったことは?

何も生まれてないですね、ケミストリーは(笑) ただ、(中村さんの声を)聴きながら"あー、なるほど。きつく来たな!"とか、そういう相手のニュアンスに反応して録っていたことはありましたね。


――10年以上スタークと付き合ってきた藤原さんの考える、スタークを演じるロバート・ダウニー・Jrの魅力とは?

どこまでお芝居している人なのかなあって、時々思うことはありますね。普段も同じようなことをやっている気もしますし、ユニークな方というイメージがありますので。昔ほど奇をてらった演技はないような気がしますけど、本人の魅力がきっと強い人だと思うので、お芝居の中に魅力がうまく溶け込んでいるということなんですかね。

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――スタークはこれまで藤原さんが吹替えた中では一番長く演じられたキャラクターではないでしょうか。このシリーズ、同役との出会いによってあなたの人生をどのように変えましたか?

僕の声優人生の中でこれだけ長く同じ人をやらせてもらったことは、たぶんないですね。トニーを演じることが出来てとても嬉しく思います。


――今回『エンドゲーム』がディズニーデラックスでの配信に伴い、見放題になります。何度も見られるということで、ご自身も吹替えする上で何度もご覧になったというシーンがあれば教えてもらえますか?

結構いっぱいあったと思うんですが、特定のシーンを挙げるのはちょっと難しいですね。ただ、トニーは表情が豊かな人なので、台本上に書かれている言葉よりも彼の表情だけをずーっと見ている時間が多かったです。ちょっと笑っているなとか、ちょっと意地悪な顔をしているなとか、そういうニュアンスを細かく拾うことを演じる上では意識していました。


――MCUシリーズの中で好きな作品は?

『アイアンマン3』ですかね。この作品は他よりもテーマが暗めな感じがしますよね。ニューヨーク決戦後に心身ともに追いつめられ、謎の男から攻撃を受けて全てを奪われてしまう。そういうのも経て、大人になっていくっていうのも、すでに十分大人なんですけど、『エンドゲーム』につながってくると思いますので。『アイアンマン3』の背景があったからこそ、その後により深みのある作品が生まれたのかなあと思いますね。

もちろん、『エンドゲーム』も好きですし、1作目の『アイアンマン』も気に入っています。シリーズ最初の作品なのでなんでこうなったのか、トニーの変化について、シリーズについて語る上で1作目は外せないですよね。


――『アイアンマン3』といえば、同作でスタークを助けた少年ハーレー・キーナー(タイ・シンプキンス)が『エンドゲーム』では青年に成長してスタークの葬儀に参列していましたね。

そうそう、僕の知り合いでこのMCUシリーズが大好きな人がいて、最初「この人があれで、この人があれで、一人だけ分からない人がいる」って言ってましたね(笑) その後に彼を調べて、僕に教えてくれたんです。

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2013年公開『アイアンマン3』

――そんなファンを喜ばせるマーベル作品に携わっていかがですか?

素晴らしいというしかないですよね。ほんとにそういうところでも気が利いているというか、さりげなく登場させるというのは、すごいなって思いましたよ、やっぱり。粋で良いですよね。


――本シリーズをきっかけに、ロバート・ダウニー・Jrの吹替えといえば藤原さんとなりつつありますが、声優としてそういう風に思われることはいかがですか?

なかなか難しい質問で、もちろんありがたいことなんですけど。自分が担当することが当たり前とは思っていないんです。

昔は(配役の固定化が)割とあったんですけど、今はそうでもないですよ。ジャンルに合わせて、どんな人がやってもバシッと決まることがあると思うので。でもそんな中で選んでいただき、色々やらせてもらっているということは、僕にとってはすごくありがたいことです。当然だと思っていないからこそ、そういうお話をいただくととても嬉しいです。

ジャンルや役柄が(自分が以前担当したものと)違っていたとしても、僕自身が演じる上ではやっぱり自分で良かったと言ってもらいたい。そこはむしろ緊張感というか、プレッシャーになるということもあります。


――アイアンマンも含めたアベンジャーズの中で、藤原さんがこのキャラクターに共感する、性格が似ていると思うキャラクターは?

やっぱりトニーが一番共感しますね。一番わかりやすいというか、なんか分からないけど、こういうつもりなんだなとか、たぶんこう考えているなとか、思う部分があります。まあ、彼の吹替えをしていることからなのかもしれないですけど、僕もそういう風にするかなあと。ちょっとひねた性格とか、素直じゃないところが好きなんですよね、きっと僕は。

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『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、ディズニーデラックスで3月13日(金)よりついに配信開始。すでに本作を見た人も、トニーの表情に注目してもう一度見てみるのも面白いだろう。

そして、同作の配信開始を記念して、ディズニーデラックス公式Twitterではリツイートキャンペーンが行われる。さらに、配信開始当日の3月13日(金)20:00より同時視聴キャンペーンも開催。

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ディズニーデラックス公式Twitter(@disneydeluxejp)をフォローの上、ハッシュタグ「#皆でみようアベンジャーズエンドゲーム」をつけてツイートすると、抽選で1名様に宿敵"サノス"のホットトイズ社製フィギュアをプレゼント! またツイートした方には、ランダムでアベンジャーズの名言がリプライにて届くので、どのヒーローのどんな名言が届くのか、本編とあわせて楽しんでみてはいかがだろうか。

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(海外ドラマNAVI)


Photo: 声優・藤原啓治
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(c) 2019 MARVEL/『アイアンマン3』(c) 2013 Marvel/ロバート・ダウニー・Jr (c)Babirad/FAMOUS

 

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