お茶の2大ブランド、伊藤園の「お~いお茶」とサントリーの「伊右衛門」。2社それぞれが「お茶をいかに美味しくできるか」を追求し、さまざまな努力を重ねてきました。身近なお茶飲料、その進化に迫ります。
「お~いお茶」1強時代に「伊右衛門」誕生
最初に登場した緑茶飲料は、伊藤園の「お~いお茶」。
茶葉の販売メーカーとしてスタートした伊藤園が、1989年に190g入り缶を販売したのが始まりです。当時の缶入り飲料は甘いジュースが主流だったため、新たなジャンルとして大ヒット。伊藤園の看板商品となりました。
以降、“無糖茶大競争時代“が続くも、「お~いお茶」は長らく1強であり続けました。
しかし、2004年3月にサントリーが京都の老舗・福寿園とタッグを組んで開発した「伊右衛門」を発売。
20種類以上の茶葉をブレンドした本格緑茶の「伊右衛門」は、これまでにない大ヒットを叩き出します。
“香り高さ”の追求
サントリーが「伊右衛門」を発売した後、伊藤園はさらにお茶の美味しさの追求をはじめます。
「伊右衛門」発売わずか2カ月後、「お~いお茶」よりさらに“香り高く”お茶の渋みが生きた「お~いお茶 濃い味」を発売。大きく売り上げを伸ばします。
あわせて2005年から茶葉の見直しを開始。「お~いお茶」専用の茶葉を作る農家と契約し、お茶の香りを逃がさないよう、茶畑の敷地内の工場で素早く加工できるようにしました。
サントリーも、2006年7月に「伊右衛門 濃いめ」を発売。さらに香りを意識した2商品を追加発売し、“香り高さ”を求める消費者ニーズに対応します。
“濁り”ブーム到来
ここで、お茶業界に新たなブームが生まれます。2011年、コカ・コーラ社が「濁り=旨み」を売りにして発売した「綾鷹」により巻き起こった“濁り”ブーム。これに対し、2社はそれぞれ独自の戦略で対抗しました。
「伊右衛門」は、配合している石臼挽き抹茶の量を3倍にして濁らせる戦略に。抹茶が底に溜まるので、ペットボトルを振ると抹茶の甘みをより楽しむことができるお茶になりました。
一方、「お~いお茶」は濁らせることはしませんでした。
1996年にクリアなお茶を作る特許を取得していた伊藤園。これまでのスタンスを崩さず、“濁り無し”のお茶を作り続けます。
機能性を追加した新ジャンルが登場
2013年になるとサントリーは新たなヒット商品、特定保健用食品「特茶」を生み出します。
体脂肪を減らすのを助けるお茶。美味しさと機能性を両立した、新しいジャンルを作り出すことに成功しました。
伊藤園も、2019年8月に体脂肪を減らす機能性表示食品「お~いお茶 濃い茶」を発売。今後のシェア拡大が期待されています。
2大ブランドが美味しさを追求し続けているお茶業界。これからの進化も期待大です。
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