SDGs達成をM&Aで成功に導く秘訣

取得元:https://dogatch.jp/news/tx/txplus_113154/detail/

sdgs_20220218_01.jpgGCA代表の渡辺章博氏

環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいる。こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際的な開発目標「SDGs」だ。

持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタートさせた。

1月21日の放送では、GCA代表の渡辺章博氏のインタビューも番組内で行われた。

独立系M&A助言会社とは?


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主に半導体製造などに使用する純水の製造や、水処理薬品・水処理装置の製造・販売を行う「栗田工業」は、AIを使って水道管の老朽化を予測する技術を持つアメリカのベンチャー企業「フラクタ」を2018年に3700万ドルで買収しました。そして、ベンチャー企業のフラクタと一緒に買い手企業候補を探した、つまりこのM&AをアドバイスしたのがGCAです。GCAは2004年に創業し、2006年には日本では初の独立系M&A助言会社として上場を果たしています。

――M&Aの助言とはどんなサービスなのでしょうか。

渡辺代表:言ってみれば結婚紹介業みたいなものです。企業のM&Aには対価が伴います。とりわけ買収価格の交渉などは非常に難しい。そういったところで我々のような専門家が入り、交渉の仲立ちをしたり、最終的に案件が成立するまでの取りまとめを行うという仕事です。

――社風や考え方が違うことで難しくないのでしょうか。

渡辺代表:私たちの会社は独立系のM&Aアドバイザリーファームです。みなさん独立系と聞くとなかなかピンときていただけないんですが、世の中のM&A助言会社はほとんどが金融の一部門、投資銀行の一部門、証券会社の一部門です。

なぜ、M&Aをそういった金融機関がやるかというと、M&Aには何十億円、最近では何兆円が必要な世界で、そこに金融機関が入ることによって大きな手数料収入が得られるためです。これは悪いことではないのですが、私が一番大きな課題だと思うのは、本来M&Aというのは人の人生を左右するということです。創業者の思いなど、いろいろなものが作用する大事なイベントにも関わらず、お金本意になってしまうと、本当によいM&Aはできない。ですが独立系であれば、そういった金融の取引でお金を稼ぐことがないので、我々の場合は、本当にいいお相手と結びついてもらうことができるというわけです。

M&Aの当事者の想いは?


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番組ではM&Aの当事者である栗田工業の飯岡光一上席執行役員(元会長)とクリタ・フラクタHDの加藤崇会長が対談しました。

飯岡光一上席執行役員:最初にお会いしたのが、この会議室だと思いますけれども、加藤さんは「強烈な方だな」という印象です。

加藤崇会長:一番初め、プレゼンテーションが始まる前にお話をさせていただいて、こういう懐の深そうな人がいるということは何か面白いんじゃないかと思ったことをよく覚えています。

飯岡光一上席執行役員:異質の文化を受け入れて、リスクはあるけれども、何かやってみようという覚悟が栗田工業の取締役会にはありました。

栗田工業がフラクタを買収してから2年後、フラクタは水処理に関わるデジタル技術を強みとする事業会社「フラクタリープ」を設立し、水処理におけるDX、AI、IoT製品の共同開発プロジェクトを発足させました。

飯岡光一上席執行役員:私どものデジタル化に関しては大きな課題があった。そこをフラクタリープに切り込んでもらいたい。

加藤崇会長:そうですね、寝ないでずっと働いてるみたいです(笑)。

飯岡光一上席執行役員:働く感覚をうちの社員らに合わせろというのは無理だよ、それは(笑)。

加藤崇会長:難しいですよ。「何をしたいか」という、人生の中でテーマを掲げながらやっているグループで、当然のことながら、大企業的働き方とはまた違う働き方になる。だからといって不幸なわけでは全くなく、むしろフラクタリープの社員の方が幸福感は高いのかもしれない。

飯岡光一上席執行役員:彼らはやっぱり、より難しい方に行こうとする。簡単なやつは面白くない。世界初じゃないと面白くないという感覚もすごくあるんですよね。

栗田工業の飯岡光一上席執行役員は、両者が絆を深めることができたのは、「水を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」という栗田工業の企業理念を共有できたからだといいます。

加藤崇会長:今回のM&Aの成功の要諦はなんだったのか。それは栗田工業の経営陣が、セーフハーバーになろうとした。だから、僕も辞めないで残っている。エゴを前面に押し出したM&Aはうまくいかない。持続可能じゃない。

飯岡光一上席執行役員:劇薬、もしかしたら毒薬かもしれない加藤さんと加藤さんの仲間たちと栗田工業が一緒になって、何か化学反応から素晴らしいものがつくれるのではないかと。もちろん失敗するリスクは覚悟の上。成功する「面白さ」「楽しさ」、それに賭けた。それが社員にも伝われば、幸せかなと思う。

持続可能なM&Aとは


――栗田工業とフラクタを繋いだのがGCAですが、一体どういう形でこの2社を繋いだのですか。

渡辺代表:フラクタ側の代理人として、ベンチャーとして今後成長するために、どういったパートナーと組んだらいいのかと相談をいただき、グローバルでおそらく100社くらい候補を挙げていろんな議論をしました。ポイントは、トップのコミットメントです。飯岡さん、(栗田工業の)門田道也社長をはじめとする方々が、加藤さんの夢を実現する、自分たちが実現させるというコミットメントを持った。そこがあったから栗田工業がいいのではと考えた。

――トップのコミットメントが強ければ、社風が真逆であっても大丈夫だという確信はいつ得られたんですか。

渡辺代表:80年代から日本の会社がアメリカの会社をM&Aするサポートをずっとしてきました。異文化のぶつかり合いのM&Aをたくさんやってきた中で、成功するパターンと失敗するパターンは明らかです。M&Aはいずれにしても異文化とのぶつかり合いで、その中のポイントはやはりトップのコミットメントであり、トップの信頼関係ということになります。

――今回のM&Aは栗田工業にとってもメリットは大きい?

渡辺代表:それはもうすごくあります。大企業の中でのイノベーションは今の時代、もう起きなくなっている。大企業にも良い部分はたくさんあるが、大きくなりすぎたがために、人が生き生きとできなくなっている。ここが問題で、その解決のためにベンチャーを買収しなければいけない。能力的に栗田工業の社員の中にもそういう人がいるかもしれないが、組織というものが、そういうことをさせなくなってしてしまう。そこの部分を、ベンチャーをM&Aすることによってイノベーションを取り込んでいく、もっというなれば情熱が大事です。

※ 2022年2月22日をもちまGCAアドバイザーズ株式会社は、社名をフーリハン・ローキー株式会社へ変更しました。なお、渡辺代表は現フーリハン・ローキーの会長となります。

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