ウクライナ侵攻で日本企業に余波? 経済制裁の最終兵器「スイフト制裁」<WBS>

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各国の銀行間の送金を処理する「スイフト」。ロシアが経済制裁で排除されると、ドル建てでの送金や決済が困難になる。

ついにロシアがウクライナに侵攻し、最悪のシナリオが現実となりました。G7(主要7ヵ国)は、ロシアに対してさらに強力な追加制裁を科す方針ですが、制裁内容によっては日本企業にも大きな影響が及びかねません。すでに対応に追われる企業を取材しました。

「モスクワサイドで着金は確認されていますか」

住宅大手の飯田グループホールディングス本社で行われていたオンライン会議の先にいたのは、ロシア極東のハバロフスクに駐在するスタッフです。飯田グループホールディングスは去年、およそ600億円を投じてロシアの大手木材企業を買収。広大な伐採権を獲得して、住宅用木材の安定的な輸入を目指していました。今回のウクライナ侵攻は、まさにその買収資金を支払うタイミングで起きたのです。

「従業員に動揺は見られますか?」

問いかけたのは、ロシアとのビジネスを率いる飯田グループホールディングスの富島寛常務執行役員。今回、ロシアに送金できない事態に備え、買収額の一部である100億円以上を予定より前倒しして送金していました。

「二国間の決済についてはスイフトがベースになります。このシステムが機能しているから、直接ロシア向けに送金をしています」(富島常務執行役員)

スイフトとは、各国の銀行間の送金を処理する「国際銀行間通信協会」のことです。日本も含むおよそ200の国と地域の金融機関1万1000社以上が参加し、スイフトを仲介することで、世界各国にお金を送ることができる仕組みです。しかし、ロシアが経済制裁でこのスイフトから排除されると、ドル建てでの送金や決済が困難になります。

実はこのスイフトはアメリカの影響力が強いとされており、これまでもアメリカは敵対する国への経済制裁に利用してきました。その一例が、2018年のイランに対する経済制裁。当時のトランプ大統領が、ミサイル開発やテロ組織への支援資金を断つため、イランをスイフトから締め出したのです。その結果、アメリカ以外の国の企業もイランとの取引ができなくなるなど、ビジネスにも大きな影響が出ました。

今回も、アメリカがロシアをスイフトから締め出す制裁を検討しているといいます。日本のある金融機関の関係者は「スイフトに入っていない金融機関への送金は実質的に不可能だ。ロシアの銀行への送金が全てできなくなることもあり得る」と取材に答えました。

ロシアとのビジネスを拡大しようとしていた矢先だった飯田グループホールディングス。今後の対応も準備しているといいますが、予断を許さない状況は続きます。

「もし全面的に凍結(スイフト制裁導入)されると、どの国からも国際決済ができなくなる。現金を運んで決済をするしかないという非現実的なことになる」(富島常務執行役員)

経済制裁の最終兵器とも言われるスイフト制裁。本当に導入されるのでしょうか?

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは「キエフおよびほぼ全土を制圧する動きになってきた時に、スイフトからロシアの銀行の排除という強い制裁措置を打ち出していくのではないか。意外と早いかもしれない。比較的近い将来にそうなるかもしれない」と話します。

一方、この制裁には弱点もあります。

「中国がロシアを助けるかが重要な点。中国が助ければ少しだけ影響を和らげることができる。助けると中国とロシアの連携が強まってくるので、『新冷戦構造』が見えてくる」(木内さん)

※ワールドビジネスサテライト


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