【ネタバレ】『シジュウカラ』家族に知られた2人の秘密、第1章の結末とは

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オープニングテーマである、ロイ-RöE-「ニードル」が流れ、水槽の魚たちは自由に泳ぎ、そんな中で、山口紗弥加演じるヒロイン・忍だけは、ゆるやかに後退している。水槽の向こう側で、シジュウカラも真っ直ぐ前に向かって飛んでいるのに。そんな情景が描かれる、『シジュウカラ』(テレビ東京)のオープニングは美しく、印象的だ。

第2話で「取材」として千秋(板垣李光人)と共に訪れた水族館に、第6話の忍は、千秋と共に再び訪れた。同じ場所で待ち合わせ、チンアナゴを見つめ、同じ場所で話し、同じようにエスカレーターに乗る。でも、全く同じシチュエーションでも以前とは違う。「何かを企んでいる表情の千秋と、翻弄される忍」の図ではなく、主導権は忍が握っている。エスカレーターで相手を見下ろし微笑みかけ、縋るような相手の視線を柔らかく拒んで前を向くのが、千秋ではなく、忍であるように。そして、視聴者がオープニングの映像として、毎話冒頭に見ている光景を背景に、忍は後退ではなく、前に進む決断をした。千秋に「自分を取り戻せた」ここ数カ月のことを感謝した上で、「40で、母で、妻」であり「恋愛だけに全てを懸けられない」自分を認め、別れを告げた。

千秋もまた、変わった。漫画を描くことを通して、自分の過去と向き合い、忍の家の傍で、忍が自分の描いた漫画を読んでいるだろう灯りのともった部屋の下で、以前は飲めなかったブラックの缶コーヒーを飲んだ。「僕がちゃんと漫画家になって、一人前になって、忍さんを守れるようになったら、一緒に来てください」と旅の別れ際に宣言したように、水族館の帰り際に「それでも、僕は待ってますから」と告げたように、彼は彼で、いつか忍とまた、ちゃんと向き合うために、自分自身が変わることを選んだ。

千秋の人生は、想像以上に過酷だった。「となりのおばさん」星宙(榊原有那)の母親との歪んだ関係から始まった売春。知っていて「自己責任」だからと見て見ぬふりをしていた母・冬子(酒井若菜)は、「だってあんたが稼いでくれちゃうんだもん」とその金を使っていた。彼の描いた漫画を通してそれを知った忍は、「何もしてあげられてない。私が守ってあげたかった」と言う。「守ってあげたかった」/「守ります」。それぞれの孤独を、1つの漫画の作者と読者という形で知らないうちに共有してきた2人が出会い、互いを必要とした。守りたいと願った。

そして、彼らは自分の手で、奪われていた自分自身を取り戻そうとしている。「過去なんて誰にも変えられない」、過去に行って相手の人生を救うことなどできないし、「今」の状況からとりあえず逃げだしたところで、本当の意味で救われるわけではない。だから彼らは自分自身の過去や、嘘偽りのない感情と向き合って、ただ、「描く」しかないのだ。「描く」ことだけは自由だから。

しかし今回も様々な要素が詰め込まれた30分だった。濃厚なキスシーンの後の、横たわる大仏を前にした忍と千秋の姿はなんだかシュールで笑えてくるし、千秋を拒んだとはいえ、「私も連れて行って」と漫画の中のヒロインが言う場面を描いている忍のうなじにカメラは執拗に迫り、モゾモゾっと落ち着かない足の動きを見逃さない。

息子・悠太(田代輝)に千秋との関係を知られてしまい、これまでの良好な関係性が崩れたかと思いきや(それを息子に告げ口した時の父・洋平【宮崎吐夢】の歪んだ表情ときたら!)、忍は、なぜか道端で蜜柑を両目にあてておどけてみせる。それから帰り道に悠太が食べる蜜柑、洋平と「互いのことを好きじゃない」と認め合い、破綻しきった夫婦関係を前に笑いながら忍が食べる蜜柑、そして、赤ん坊の悠太を抱える忍に、蜜柑を食べつつ優しく語り掛ける洋平という、愛し合っていた頃の記憶の中の蜜柑。

そして、ついに物語は、「玄関」という、これまでカメラが静かに定点観測してきたその空間に新たな不穏を投下する。忍が千秋と別れ、帰宅すると、玄関にビニール袋に入れられた何かが転がっていた。それは、彼女のデビュー作「ウサギなんて追いかけない」が掲載された雑誌であり、そこに挟み込まれた離婚届だった。その次に見た「息してない」洋平の姿。「変わんないね、あんたも私も」と洋平に笑いかけた冬子の言葉と、その時彼女の顔に浮かんだ一抹の淋しさが甦る。今回も相変わらずの外面の良さと狡さとモラハラ夫ぶりを見せていた洋平もまた、孤独な人物だ。

第1章が終わり、時は流れ、次回は5年後が描かれるとのこと。池内博之の登場も楽しみである。

(文・藤原奈緒/イラスト・月野くみ)

【第7話(2月18日[金]放送)あらすじ】

時は進み、忍(山口紗弥加)は45歳になった。漫画家としては順調にキャリアを積んでいるもののマンネリ感は否めない。一方家では息子が家を出てしまい、どこか空虚な日々。そんな中、漫画編集者で高校時代の元カレ・岡野(池内博之)と再会。何かを抱えた者同士、次第に意識し始める二人だが・・・。新たな物語が動き始める。

◆放送情報
ドラマ24『シジュウカラ』
毎週金曜深夜0:12からテレビ東京ほかで放送。※2月18日(金)は深夜0:22から。
地上波放送後に動画配信サービス「Paravi」でも配信

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