夫「たっくん」こと拓也（大東駿介）の浮気を知ってしまった麻衣子（門脇）。そんな折、早朝のゴミ捨てで会話する麻衣子と二葉（森山）の前にタクシーが停まり、朝帰りの拓也と共に意外な人物が降りてきた。たっくんの同僚で、二葉の部下・愛宕（小西桜子）だ。かなりの衝撃だが、実はこれは勘違い。仕事のトラブルで朝まで手伝ってくれていたのだという。
しかし、不倫相手だと思われたことを瞬時に感じ、すぐさま否定した上で、麻衣子に「心配になる気持ちわかります」と声をかけるのも、「課長、おはです！」という軽い挨拶も、二葉の肩に手を触れて「また後で」と言う意味深な仕草も、挑発的だ。しかも、自分は不倫などしないと二葉に言い、「あんなのただの現実逃避じゃないですか。そのくせリスクも高くて、割に合わなくないですか？」。この合理脳はふわふわたゆたう麻衣子とは対照的だが、奥さん可哀想という愛宕に対する二葉の返しが実に良い。
「そういうのは良くないよ。『可哀想』って、君の物差しで人を決めつけないほうが良いと思う」。こうした穏やかで柔らかだが、自分の考えをはっきり言う、二葉の優しさの根っこにある強さみたいなものに麻衣子は安心感を抱くのだろうか。そして、おそらく合理脳の愛宕のようなタイプが最も心を揺すぶられるのもこの手のタイプだろう。
麻衣子と二葉は、ベランダの壁一枚を隔てた会話と早朝のゴミ捨てとでますます距離を縮めていく。ときには二人で雑草を眺めたり、白線に沿って歩くゲームをしたり。子どもの遊びのような、中学生カップルの通学風景のような初々しい雰囲気は微笑ましい。
しかし、そうした様子を見ていたのが、よりによって鋭い観察力の愛宕だった。「課長と中山さんの奥さん（麻衣子）、仲良いんですね」とゴミ出しの様子を目撃したことを告げ、「僕たちは何もないよ」と否定されると「僕たち？」。さらに「私はアリだと思いますよ。夫婦はフェアじゃないと」と中山の不倫を引き合いに、損得勘定で言う。
一方、麻衣子は夫の不倫よりも、いつの間にか二葉とのベランダの会話、顔を合わせるゴミ出しの日が気になるようになっていた。にもかかわらず、愛宕に茶化されたことで、「ゴミ出しはちょっと危険かも」「変な噂が立って迷惑かけちゃうかも」と相手ファーストの言い方ながら、しっかり線を引く二葉。
ベランダが唯一の会話の場となった麻衣子は「304号室があればいいのにな」と言う。麻衣子が住む303号室と、二葉の住む305号室――その間を隔てる壁が小さな部屋だったら、気兼ねなく話ができるのに･･･すると、そんな麻衣子を二葉は食事に誘い、壁の下から連絡先を交換をするのだった。
ベランダどころか、「社宅」という敷地を遠く離れ、初めて向き合う二人。心地良い距離感の関係性は変化してしまうのか、気になる展開だ。
（文＝田幸和歌子／イラスト＝月野くみ）
【第4話（8月30日[月]放送）あらすじ】
麻衣子（門脇麦）と二葉さん（森山直太朗）、初めての二人での外出。向かい合わせの席に照れながら、話題は二葉夫婦の過去に及ぶ。一方で、聖さん（西田尚美）もまた、田宮くん（田中樹）に夫婦関係を問い詰められていて･･･。妻と夫、互いの思いが交差する夫婦の歴史が明らかに。そして、二葉さんの複雑な思いを知った麻衣子は、衝動的な行動に出てしまい･･･。反省し葛藤する麻衣子は、二葉さんを避けるようになる。
◆番組情報
『うきわ ―友達以上、不倫未満―』
毎週月曜23：06よりテレビ東京系にて放送
地上波放送終了後に動画配信サービス『Paravi』にて配信中。
見逃し配信のほか、Paraviオリジナルストーリー「うきわー他人以上、友達未満ー」を独占配信中。
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