脚本家で観る韓国ドラマ第4弾!~ミステリー・サスペンス編~

取得元:https://dogatch.jp/news/etc/plusparavi_82254/detail/

動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で配信されている作品の中から、注目の脚本家にスポットを当てて紹介していく特集の第4弾のテーマは"ミステリー・サスペンス"。韓国ミステリーに外れなし!それほどこのジャンルはどれも秀作揃いと言い切れる。そんな中にあってひときわこのジャンルで脚光を浴びている脚本家がキム・ウニだ。

キム・ウニは韓国で初めて法医学者と国立科学捜査研究院にスポットを当てたメディカル捜査ドラマ『サイン』(2011年)で頭角を現した。「生きた人間は嘘を言い、死んだ者が真実を語る」。この信念のもと、死の原因を明らかにする法医学者たちの活躍と苦悩がテーマになっている作品だ。気難しくとげとげしい天才法医学者と人懐っこく情熱的な新人法医学者、そこに熱血刑事と、俗物と呼ばれながらどんどん正義の検事となっていくデコボコカップルも加わり、彼らが権力の壁にぶつかりながらも真実を暴くべく、真っ向から権力に対決していく姿が、手に汗握る緊張感と共にスリリングに描かれていく。





第1話からアイドルスターが謎の死をとげるというK-POPファンにも興味深い事件でスタートし、連続ひき逃げ事件や、企業内での連続不審死など、大小さまざまに登場する事件のエピソードがどれも一筋縄ではいかない内容で興味深く、それぞれの事件が主人公たちに絡んでくるという巧みな脚本になっている。よく日本のドラマにあるような一話完結方式のメディカルドラマや刑事ドラマの概念を覆す面白さで、スピーディな展開と緊迫感あふれる演出で視聴者の好奇心を刺激していく。

そして最初の事件が最後までかかわってきて、ラストは「ええっー!」と驚く衝撃の展開なのだ。ミステリー、サスペンス、ヒューマンドラマの要素が満載で、とにかくストーリー構成の緻密さ、ドラマとしての完成度の高さにしびれる傑作になっている。なんと言ってもキム・ウニの想像力とどんでん返しっぷりに舌を巻く。





そしてさらにそこに感動が加わったのが、彼女の代表作と言える『シグナル』(2016年)だ。時空を超えて無線機でつながった現在と過去の刑事たちが、力を合わせて未解決事件を解決していくというサスペンスドラマ。時を超えてそれぞれの刑事が会話することによって事件の手がかりが生まれ、それぞれの時代で無念に終わるはずだった結果が一つ、二つと変わっていくうちに、何のために時代を超えて無線がつながったのか、なぜこの二人だったのか、その理由が徐々に浮かび上がってくるのだが、そのゾクゾク感がたまらない。

興奮レベルの面白いドラマで、1話からがっしりと心をつかまれ、見始めたら気になってやめられなくなること必至だ。このドラマも非常に計算された緻密な構成の脚本が光っているが、それ以上に、訴えているメッセージが胸を打つ。金やコネや力があっても罪を犯したら罰せられるべきだという愚直なまでにまっとうな思いを持った熱い刑事が、長いものに巻かれず、決してあきらめずに社会悪に立ち向かっていく切実な思いが感動を呼ぶ。金もコネも力もない人間が理不尽な目に合う現代韓国社会への皮肉なメッセージにもなっている。

キム・ウニが大衆性と作品性を兼ね備えているエンタメ作品の書き手なら、マ・ジンウォンは、より専門的でハードな内容を取り扱っている脚本家と言える。





その代表作『ボイス~112の奇跡~』(2017年)は本格サイコスリラーというジャンルだ。愛する妻を猟奇的な犯人に殺された刑事と、どんな小さな音でも聞こえてしまう特殊聴覚を持つ女性ボイスプロファイラーが、"ゴールデンタイムチーム"という112通報センターに勤務し、連続殺人犯を追跡し事件を解決していく過程を描いた作品。生と死の危険のさなかにいる被害者からの通報に耳を傾け、音を手掛かりに場所を特定し、犯人の心理状況を推察して被害者を救出するという新鮮な素材を扱い、隊員たちがサイコパスらが起こしていく猟奇的事件の数々に挑んでいく。

ジャンル物として好評を得てシーズン3まで作られ、2019年夏に日本でも唐沢寿明、真木よう子、NEWSの増田貴久出演でリメイクされたので印象に残っている方も多いだろう。『ボイス』は大衆性とは少々距離がある残酷な凶悪犯罪を扱うドラマ。毎シーズン、実際に起きた事件を反映して、犯罪に対する警戒心を高めるエピソードが登場し、見るものの緊張を誘う描き方になっている。
いずれ、スリルとサスペンスを求めるならこれらの作品たちは十二分な満足感を味わえることは間違いない。

(文:韓流ナビゲーター 田代親世)

『サイン』(C) SBS
『シグナル』(C)2016 Studio Dragon & ASTORY
『ボイス~112の奇跡~』(C)STUDIO DRAGON CORPORATION

関連リンク
脚本家で観る韓国ドラマ第4弾!~ミステリー・サスペンス編~

「love⇄distance」水川あさみ「幸せな時間を過ごした」

「座る」を快適にするパンツとは!?

【ネタバレ】『MIU404』綾野&星野一筋縄ではいかないバディの躍動

号泣必至の不朽の名作!『私の頭の中の消しゴム』消えゆく記憶に負けぬ愛

 

関連記事:

    None Found