『だが、情熱はある』語り継がれるべき高橋海人“若林”の圧巻ひとり喋りと、森本慎太郎“山里”が見せた鬼の形相

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これまで物語の最後を彩っていたSixTONES​​の「こっから」がオープニング曲に、King & Prince​​の「なにもの」がエンディング曲となった『だが、情熱はある』(日本テレビ系、毎週日曜22:30~)。

第8話は、希望を胸に「こっから」はじまるはずだった男と、「なにもの」かになろうとする男の姿が描かれた。

「悔しい」「惨め」は面白い



若林正恭(King & Prince・高橋海人)と春日俊彰(戸塚純貴​​)​​のコンビ・ナイスミドルは、オードリーに改名。さらに「小声トーク」と題したトークライブを始める。会場は春日宅。場所代を払えない彼らの苦肉の策だった。

そんな中、若林は、ひとりでフリートークをするラジオのオーディションに向かった。そこで、放送作家(藤井青銅)らを前にエピソードトーク。若林の話は、意中の相手・橋本智子(中田青渚)​​といつも公園で話をするが、お金がないため「ファミレスに行こう」の一言が言えない。彼女の足が蚊に刺されていても見て見ぬふりをしている、というものだった。

「一緒にいて楽しいはずなのに、辛くなってきちゃいまして」「ただひたすら2人で蚊に刺されながら大きなジレンマと戦っています」

若林の話を聞き終えた作家は「その話、面白いよ」と伝える。

「人がね、本気で悔しかったり、惨めだったりする話は面白いんだよ」

若林の胸にしまっていた「悔しさ」や「惨めさ」が「面白さ」につながる――。彼にとって、とても大きな一言だった。本人役のようなかたちで出演した放送作家の藤井氏は、若林が売れないころから才能を見抜いていて、現在も『オードリーのオールナイトニッポン』で共に仕事をしている人物だ。過去に藤井氏が若林に伝えたことを、劇中でも言ってくれたことで、より言葉に重みが増し、グッときてしまった。

若林はラジオのオーディションに合格。深夜の5分番組だったが、地下芸人の彼にとっては大きな大きな仕事だった。北海道にいる両親に番組を録音したMDを送付。しばらくすると、両親が東京の家に帰ってきた。

上機嫌の徳義(光石研)が「面白かったなラジオ」とこぼす。すぐに親子喧嘩になってしまったのだけど、若林が父親に認められたシーンは、自分のことのように嬉しかった。

『だが、情熱はある』では、若林のひとり喋りがクローズアップされる場面がある。今回はその総決算と銘打っても良い圧巻のトークだった。これまで本編を観てきて「高橋に若林が乗り移っている」と思ってきたが、それだけじゃない。若林を演じる高橋のトークに“聞き入ってしまう”ことに気づいた。

若林の言葉一つひとつには怒り、悔しさ、惨め、などいろんな感情が乗っている。今回のひとり喋りも「感情」という名前の色がついていて、聞く人を巻き込んでいった。だから聞き入ってしまうし「いいものを見た」という充実感も得られる。若林と高橋の魅力がうまく絡み合った名シーンだった。

“人間”を曝け出した表情



のちに若林は「小声トーク」で、ブレイクにつながるズレ漫才のきざしが浮かぶのだが、同じ「ズレ」でも、山里亮太(SixTONES・森本慎太郎)としずちゃん(山崎静代/富田望生)​​の気持ちは本当にズレていくばかりだった。

『M-1グランプリ』準優勝で一気に仕事が増えた南海キャンディーズ。夢の世界に飛び込んだはずなのに、注目されるのはしずちゃんばかり。山里の扱いはどんどんひどくなっていく。「ネタを書いているのは俺。なんでしずちゃんが!」。山里は苛立つばかりだ。

しずちゃんに映画『フラガール』の出演依頼が舞い込んだ。マネージャーの高山(坂井真紀)から事前に相談された山里だったが、仕事のストレス、疲れ、妬み・嫉み……精神的にも肉体的にも追い込まれていた彼は、映画のオファーを断ろうとする。

山里を演じる森本慎太郎​は誰もが認めるスターだ。ステージに立つ彼は輝いていて、バラエティでも笑顔を届けてくれる。でも、ブレイク後に徐々に​「追い込まれた人間」の表情になっていく山里の顔は、森本の“それ”ではなかった。鬼気迫る森本の台詞まわしは、とんでもなく怖かったし、今まで彼が演じてきた人物とはどこか違う“見たことのない表情”をしていた。

ただ、森本を見ていると、リスペクトを持って山里を演じているのが伝わってくる。森本がインタビューで語っていた、当時の山里をリアルに演じることで「結局最後は今の素敵な山里さんにつながってくる」との想いが少し分かった気がした。

若林と山里ファンはもちろん、彼らの歴史を知らない人たちをも魅了する高橋と森本の表現力。テクニックや経験だけじゃない「情熱」を持った2人の演技はもっと、もっと評価されるべきだ。

次回は6月4日に放送。南キャンはさらにコンビ仲が最悪に……。オードリーはズレ漫才を武器にM-1敗者復活戦へ。第9話も神回確定。「なにもの」でもなかった男たちが夢を掴む――。

文・浜瀬将樹

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